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短編

量子力学で年末の忙しさを何とかしたい!

作者: kayako

 

「年末って忙しいよね」

「何だ藪から棒に」


 それは同僚の竹輪(ちくわ)が突然放った一言。

 確かにこの年末、ブラック企業で働く俺たちはあまりに忙しい。俺も竹輪も3日寝てない。


「ただでさえ仕事が大変な上に、クリスマスに大晦日に正月って立て続けに重なってさ。酷いと思わない?」

「こればっかりはしょうがないだろ」

「そこで、僕は考えたんだ。年末年始がめっちゃ楽になる方法を!」

「何だそれ」


 何故かガッツポーズをとる竹輪。


「よくぞ聞いてくれました~

 量子力学で、1年を13か月にするのさ!」


 竹輪は完全に深夜テンションだ。しかしその目のクマは既にパンダの如く。


「いや、待て。おかしい。

 お前、量子力学の意味分かってるか?」

「知らない。でも、ビームサーベルができるんでしょ?」

「らしいけど」

「だったら1年を13か月にすることだってできるんじゃない?」

「だからおかしいって」

「でも、見てごらんよ。

 今僕が量子力学を使ったおかげで、ほら!」


 デスクの隅を指さす竹輪。

 そこにはいつもどおり、12月のカレンダーがあった――

 25日にクリスマスと書かれている。しかし、31日がおかしい。


「お……

 大晦日の文字が、消えているだと!?」

「うまくいったぜ!

 これで今年は年末まで、まだあと1か月以上あるよ。

 年末までの締切も大幅延長だ~!」


 俺は恐る恐るカレンダーをめくってみる。

 12月の次は1月のはず……だったが


「じゅ……13月……だと……」

「13月31日が大晦日。その次が元旦。

 いや~楽だね! クリスマスと正月が重ならないって!」


 得意げな竹輪。

 しかし俺は、13月のカレンダーに何やら見慣れないものを見つけた。


「なぁ。この、13月25日にあるシャッポホレテフ祭って何だ」

「え?」

「分からんなら調べるぞ。ええと……

 ウィコペディアによると、南国発祥の奇祭。

 上司全員の家を訪問し、一緒にドリアンを食すんだとさ」

「ゲ」


 一気に真っ青になる竹輪。


「しかも上司の喜ぶコスプレ必須。さらに祭は大晦日まで継続らしい」

「ヒィイ!

 な、何でそんな祭がいきなり日本に!?」

「ドリアン会社の陰謀だろ。

 何にもない月には行事を入れたがるもんなんだよ、この国って」

「嫌だー! クリスマスの方がよっぽどマシだぁー!」





 そこで目が覚めた。

 目の前のカレンダーは相変わらず、12月31日に大晦日と書かれている。良かった。

 量子力学(よく分からないもの)を無理に使っても、ろくな年末にならんってこったな。


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― 新着の感想 ―
[一言] タイムリーな時間設定で、POPな内容にクスリとしました^^
[良い点] ぜんぜん量子力学でないのに、余りにも支離滅裂で、最後の「よくわからないもの」で、まあ、いいか、となってしまう無駄な(役に立たない)説得力がありました。 [一言] おおくの「よくわからないも…
[一言] 一ヶ月増えたところで仕事してるのには変わりないという落ちが、なんともリアリティがあって切ないですね~笑 一年に一ヶ月くらいゆっくりできる期間があれば、人生はもっと楽しくなるんですけどねぇ。
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