「 」
僕には、苦痛だった時期がある。
誰でもあると思うけど。
意思が生まれてから高校卒業までずっと苦痛だった。
なぜか?
自分に嘘をつき続けたから。
僕はいい子だった。
本当に。
先生からも保護者からも同級生からも。
誰からも。
でも、それは僕じゃないんだってずっと感じていた。
本音が言えない子だった。
本音を出しちゃいけない子だった。
それが顕著だったのは高校時代。
学校全体の思想が僕とはかけ離れていた。
本音を言ったら確実に孤立するって思った。
だから、隠した。
ただ、馴れ合いの中に居たかったから。
心地よさそうにみんなが生きているから。
自分の本音を語ること。
自分の気持ちを伝えること。
自分の考えを述べること。
自分から話に行くこと。
自分から話題を提供すること。
全部してこなかった。
1人だった訳じゃない。
むしろ中心のグループにはいた。
でも、その人たちの話が面白いと思ったことはない。
どこかで馬鹿にしていたのかもしれない。
周りがとても子供に見えた。
そうとしか見えたことがない。
どう?嫌なやつでしょ?
かっこいい、かわいい、きれい。
この話題が1番きつかった。
見た目の判断しかしない人がすごく嫌だった。
かっこよさは貫いた信念から。
かわいさは心の純粋さから。
きれいさは積み重ねてきたものから。
ずっとそう思ってきたから。
たかが遺伝子のみの判断で決めつけるのがとても不細工な考えだと思ってきた。
今はちょっと違う。
素直なだけなんだなって思うようにしている。
でも、僕自身の価値観は変わってはない。
今は本当のかっこよさを知る人が魅力的に見えるようになった。
常に、何かモヤっとしたものを抱えてきた。
それをアカデミー賞並みの演技で誤魔化してきた。
ごまかせてきたのかな?
何も言われてないからきっとごまかせていると思いたい。
何も言ってこなかった。
理解されないと思っていた。
でも、それがきつかったからやめた。
無言の思想は理解されるわけがないから。
残念ながら僕も人みたいだ。
理解されたい。
理解されないのがキツくなってきた。
いいかげん口を開こうかな。
理解されるために。
無口な思想家にはなりたくないからね。