花を書く
青白いさきの窓に
熱のつたわりがある
硝子はとうめいな指さきで
つらぬいていく
骨とひかり
血管
めぐる
循環の記憶は停滞のまちへ
わたしの血が
硝子みたくすきとおるように
まちへ、ずっと
季節をつたえている
熱にうかされて
五月の風が色をおびて
おびて、季節
血によってめぐる
めぐるそれを吸って
咲く花
機構のうえ
マリオネッタないのち
張りめぐらして
花の根が
地球の骨に届くように
色のない花を書く
わたしは昨日の音に耳をすまし
純粋な距離を感じている
五月の色彩である。