表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
推理ゲームには頭を使う  作者: 西松清一郎
2/25

1-2

「やけに急いだ様子じゃないか。つまみはもう頼んである」

「ええ」

 まだ上気した顔を、田切は探偵に隠せるはずもなかった。さらに不恰好であるのは承知の上、報告も兼ねた言い訳を並べた。


「終業間際に、結婚詐欺の依頼が一件来まして。電話でなくオフィスに直接来るんですよ。そして、まあ話の長いこと」

「新規か」

「いえ。以前、いなくなったペルシャ猫の件で相談にきた方です」

「上流階級の道楽だろう。君はもっとお客さんを懐柔(かいじゅう)する(すべ)を身につけるべきだね」


 壁にかかった大型テレビでは、午後九時のニュースが流れ始めた。店内に客はまばらで、この時間では珍しい親子連れがソフトドリンクを飲んでいる他、何組かの男女がそれぞれの空気をまといながら談笑にふけっている。


 田切はここではメニューが出ないのを思い出し、ちょうど厨房から出てきたマスターを呼んだ。

「ワイルドターキー・スタンダード[*1]を水割りで」

 白髪のマスターは口の中で「かしこまりました」と言うと、流れるような動作で酒瓶を手に取った。


 若月を見るとスコッチ派らしく、いつものファイネスト[*2]をトゥワイスアップ[*3]でちびちびとやっている。やがて底の厚い上品なグラスが、からんと音を立てて田切の前に置かれた。



[*1]:バーボンウィスキーの定番。クセのないやわらかな甘みが特徴。


[*2]:バランタイン・ファイネスト。スコッチウィスキーの定番銘柄で、調和のとれた豊かな風味が特徴。


[*3]:ウィスキーと常温の水を、1対1で混ぜて飲む方法。氷、その他の割りものを入れないため、純粋にウィスキーの香りを楽しむことができる。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ