7.取引と空腹
とある骸骨が世界を征服する小説を読んでいたら話数更新忘れていました。
すみませんm(_ _)m
街の倉庫内にて
「その話は本当なんだな?」
冒険者の若い男が話の信憑性を確かめてきた。
「ほ、本当だ!この手についた鱗分を見てくれ!」
私がが若い冒険者に信じてもらう為に手についた鱗粉を顔の前に突き出した。
若い冒険者が自身の手にかすり傷程度の切り傷をつけた。
そして私の手についた鱗粉を人差し指で擦り傷口にふりかけた。
すると傷口が徐々に塞がっていきやがて何もなかったかのように元に戻ったのであった。
「おぉ!お前が言ってたことは嘘じゃねぇみてぇだな。
いいだろうお前の話に乗ってやるよ、お前の言っていた妖精を捌いたらその金の4割お前に渡してやるよ。ただし妖精が上位種だった場合はお前の娘と息子の命までは保証できねぇぜ」
冒険者の男が下卑た笑みを浮かべ、一枚の紙を私に渡した。
私は渡された紙に目を通しこれが契約書だと理解した。
契約内容は報酬の6:4での分配、上位精霊の場合娘、息子の安否の補償なし。
といった感じの先程と変わらない内容が書かれていた。
報酬は4割だけでも十分な金が入ってくる。
しかし、あの妖精が上位だった場合子供たちの命が危ぶまれる。
だが!子供たちの命が失われようとも貴族の地位に戻らなければ、いや、戻るべきなんだ。
「わ、わかった。この内容で契約をする。だが妖精が上位だとしても息子達はできるだけ生きて連れ戻してくれ!」
渋々サインを契約書に記入する。
冒険者の男は相変わらず下卑た笑みをしたまま契約書を懐へしまう。
「これで契約は成立ってわけだ
もうお前がなんと言おうとも契約内容を遵守させてもらうからな」
そう言うと男は大通りの人混みへと消えていった
子供達を危険に晒してしまう契約内容だったが、私は子供たちが嫌いと言うわけではない。どちらかといえば大切な私の宝だ。しかし、私が貴族の地位に戻らねば子供たちは一生貧しい思いをしながら生きていかねばならない。
そもそも私が貴族位を剥奪されたのは私の父が【犯罪組織】と裏で繋がっていたのが原因なのだ!それが国王に見つかり父上は処刑、子たちは爵位の剥奪され平民になった。その子と言うのが私だ。
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下水道から移動し、この街のスラムを歩いている。そこには餓死した老人の死体や男に襲われたであろう女、カビの生えたパンを少しずつ食べる少女、泥水をすする青年たちが辺り一帯にいる。
ナーシャとクリフといるが両者とも美男美女。人攫いや襲ってくる者に遭遇するかもしれないので、ナーシャとクリフには下水道近くに捨てられていた布を水でできるだけ洗ったものでフード付きホーブを作り顔が見られにくいようにしている。
いざというときはナーシャが魔法で対処してもらう予定だ。
「*******」
スラムの先を指差し、両手の掌を合わせ顔の横に持っていき首を少し傾けた。
どうやら奥の方で寝る場所を探すみたいだ。うまく理解できているかはわからないが頷く。
奥には壁でこれ以上進めないが寝るには十分な場所があった。この周辺に人らしきものはいない。スラムも意外と広い。
まだ昼頃なので今日の食事を探しに市場へと向かった。
パレードと昼時とで重なり市場には大勢の人が歩いている。道の両端には露店がいくつも並んでいた。衣服や装飾品を売ってる店や古物を売っている人、日用品から雑貨などの露店もあった。
街の入り口付近まで足を運ぶと肉を焼く匂い、果実のほのかに甘い香り、パンの焼き立ての香ばしい匂いなどが辺りから漂う。
しかし、俺達には金が一エメルもない。
こんなことより俺はオルスに会いに来たんだ。なのになんでこんなことに巻き込まれなきゃいけないのか、早くオルスを見つけたいだけどな。
ナーシャは俺のことを助けてくれた恩があるので2人を無視してオルスを探すのはあまりにも身勝手過ぎるので無視することはしない。
そんなことを考えているとナーシャとクリフの方から『グゥ〜』とお腹のなる音が聞こえた。どうやらこの匂いの中では食欲を抑えられないようだ。
ナーシャ達にはここで待つように合図し、俺は歩く人々の足元を素早く潜り抜け肉串屋の露店にたどり着く、店主には悪いがこの調理済みの肉串2本両手に取った。俺より遥かに大きい肉串だがステータスを上げたおかげなのか難なく持ち上げることができた。
その肉串を店主が客と対応している隙にナーシャ達のもとへ急ぐ、なんとかバレずに肉串を盗ることができ、待たせていたナーシャ達へと肉を渡す。
ナーシャは盗んだことに気づき肉串を拒むがお腹が再び鳴ってしまい渋々受け取り食べはじめた。