4.出会い
お待たせしました!m(_ _)m
あれからしばらく魚たちと遊泳していたが俺を襲うような生物も現れることもなく優雅に泳いでいると水が俺にささやいた。
『この近くで人間が魔法を使ってるみたい』
なんと!今人間がいるといたのか!この世界について教えてもらえるいい機会だ!初の人と聞いて人間を探し、先へと進んだ。
しばらく壁沿いに泳いでいるとそこに居たのは眼鏡をかけ、体は細く背の低い13歳程の少年のようだ。その少年は何やら呪文を何度も唱えるが小さい火がチョロっとでるだけ。さっきから何回も魔法を撃っているのでこの少年は魔法の練習をしてるのではないだろうか、必死に練習しているのをの邪魔するのは心苦しいが声をかけなければこの世界のことを知れないような気がして、今も練習中の少年に声をかけたいところだがアクシーには声帯がなく話すことができない。
なんとか気づいてもらおうと水を操ってみるもうまく扱えず波立たせるだけしかできなかった。放電もできるが万が一少年に当たりでもしたら捕まえられるか逃げてしまうので使わないでおこう。
小一時間経過したころで少年は休憩だろうか、その場で座ろうしたとき少年と目が合った。少年は何やら話しているようだが言葉を理解できずどうやってコミュニケーションをとろうか迷っているとまた水の声が聞こえてきた。
『そこの人間が「まさか、妖精!これはもしや」とか一人でぶつぶつ言ってるみたい』
かわいい声で教えてくれた水にお礼を言い、先程少年は「こんな街の近くにいるわけない」と言っていたのだ。なんと!こんな近くに文明があるのだ!これはぜひとも話を聞かなければいけなくなったぞ!しかし少年の声は水のおかげで聞くことはできるがこちらから伝えることはできない。どうにか伝えられないかと頭を悩ませていると、かわいい声が『そういえば水を浮かすことができるんだ。伝えるの遅れちゃった』今言うのかよと思ったが水を浮かすことができることを知れたこと、それを利用して言葉はわからずともコミュニケーションはとれるので早速試すことにした。
彼の名は【オルス】というようだ。彼は優しいが人と話をするのが苦手らしい。
水を浮かせ絵を描きなんとか言いたいことを理解してもらえたが街に入れることはできないそうだ。妖精は高価で妖精の所有者、保護者から力ずくで奪おうとする人が後を絶たないそうなので街に行くのはもっと後になりそうだ成長すれば問題ないのだろうが、ステータスが低すぎるので最優先で育てないといけない。ちなみにオルスのステータスは...
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種族名 人間
個体名 オルス
能力値
生命 126
攻撃 98
耐久 64
俊敏 85
運 32
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このように俺とのステータスの差は大きく、しかもオルスは人間基準では弱い部類に入るらしい。人間の街に行くならある程度力を蓄える必要がありそうだ。最低でもオルスと同じ値まで上昇させるべきだな。それと、オルスが街に連れていくことはできないこと、練習ついでに毎日ここにきてくれること。定期的に街の、人の世界の情報が手に入るのはとても助かる。
あれから一通りひととお話終えオルスは街にある宿に帰るといい街がある方向へ帰っていった。
ちなみにオルスに妖精のことを聞いてみたが珍しい生き物で高額で取引されていることは知っていた。
なぜ妖精が高額なのか、理由は妖精の羽が万能薬エリクサーの調合に必須素材だからだ。しかも生きたまま羽を剥ぐことで羽の輝きが濁らず、薬の効力も増すらしく、金目当ての人間に捕まれば羽を剥がされるのは確実だ。
人間といえばオルスだが彼は金なんかより気軽話せる友人が欲しいらしく意志の疎通ができ敵意がない種族なら誰でもいいと言っていた、魔法の練習をしてるのも学園のクラスメイトたちに凄いところを見せることで友人が増えるかもしれないと希望を抱いて練習していたそうだ。
それから約半年オルスは毎日、話をしにこの池まで来てくれた。話のほとんどがオルスの学園生活での出来事や俺についての質問が多かった。そんな俺もオルスと話していくうちに楽しくなり時間を忘れ話をすることもあった。
ある日、オルスが俺を透明な瓶に入れ一緒に森を探検しようと誘われた。もちろんオルスは信用できる男、俺はオルスの誘いを受けることにした。
空き瓶に水と俺を入れると森の奥へと歩いていった。
歩いているとオルスがキノコを指差し笑顔で
「このキノコは【コロタケ】って言ってこれを食べてしまうと肌から黄色の膿を出しながら内蔵とかされて死ぬんだ」
またしばらく歩くと次は葉を摘みながら
「この葉は【ヒル草】って言って傷薬の材料なんだ。この葉は根を残して摘むのが法で決まってるんだ。傷薬は需要があるから薬屋に持っていけば1束200エメルで買い取って貰えるんだ。」