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リバーシブル  作者: ユー
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初日:白いバラ

 教室に入ると、既に多くの生徒が登校していた。僕たちは自身の席に荷物を置いて会話を再開した。

「きゃはは、なかなか変人がそろってるクラスの様だなぁ。さすがに天才ぞろいの『西ノ宮高校』のなかでも上3組だぜ」

「さっきも言ってたけど、上3組ってなんですか?」

「はあ、晶はそんなことも知らずにここに来たのか。あのな、上3組っつーのはGHIの三つをまとめて呼ぶときの呼称だ。この3組には『西ノ宮高校』に集められる天才の中でも特殊な、例えば念動力とか、テレパシーみたいなものを持つ人間が集められるんだよ」

「……嘘だよね?大体、僕にそんな力ないし。本当だっていうんなら、九九君の特技、見せて下さいよ」

「ああ、いいぜぇ。いいか、俺の特技はな……」

 その時、ざわついていた教室に放送が入る。どうやら入学式のため体育館に集合しなければならないらしい。

「おっと、しゃあないか、後で教えてやんよ。その代り、教えてやったらそのめんどい敬語は無しな」

 皆が体育館に移動しだす。まるで集団行動をしようという気は無いらしい。僕も皆について体育館に向かうことにした。

 体育館には日本全国、どころか世界からもスカウトされた天才たちが集まっていた。見ただけで体の強そうなやつ、頭の切れそうなやつ、とにかくいろんな奴らがいる。

 そんな奴らでも、式典が始まると静かになるもんなんだな。居眠りしているやつも相当見かけるが。

「校長先生、挨拶お願いします」

 めがねをかけた男性教諭からそういわれた、ダンディな七三分けの男性が壇上に上る。

「どうも、皆さん。校長です。よくこの学校に集まっていただきました。本当にありがとう。そんな皆さんには感謝の意を込めて贈り物を用意しました。頭上を見て下さい」

 僕が上を見ると天井が真っ赤になっていた。しかもそれが迫ってくる。とっさに頭をかばうが、全く意味なく、その赤い波に飲まれてしまった。

「どうですか、真っ赤なバラですよ。あ、棘は除いてるので安心して下さいね」

 目を開けると、まさしくバラの絨毯が敷かれていた。前に座っていた九九の頭に花びらがついている。きっと僕の頭にもついているだろう。ふと足元をみると、一輪だけ白いバラがある。不思議に思い拾ってみる。

「おや、そこのあなた、白いバラのあなたですよ。それ、拾ったんですね。ラッキーですよ。百万の赤に唯一つだけなんですから」

 どうやら、僕のことらしい。何も僕の所に来なくても良いのに。僕はあまり目立つことが好きではない。けど、もらえるのならもらっておこう。

 そんなこんなで入学式も終わり、僕たちは教室に戻った。今日はこれで終わり。放課後となるようだった。

「ねえ、九九君、教えてくれる?」

「ああ、いいぜえ。奇しくももったいぶる形になっちまったが、俺の能力はな、正確に知っていることなら正確に再現できるってもんだ」

 よくわからない。困った顔をしている僕を見て察したのか九九は、

「まあ、ちょいと見ときな」

 なんて言っておもむろに逆立ちして回転しだした。

「……ブレイクダンス?」

「ああ、初見にはこれが派手に見せれていいんだ、どうよ、きゃはははは」

「つまり、知識が行動に直結できるってことでいいのかな」

「そんなもんだなぁ。もちろん、物理的に不可能なことはできんがな」

 と、会話していた時、横から話しかけられた。

『すごーい、今のグルグル、かっこいいね』

 なんか、ステレオみたいに左右から声が聞こえる。右を見ると、ショートヘアーの女の子が立っている。

「はじめまして」

 って、この子、口開けて喋ってるはずなのに、後ろから声がする。振り返ると、全く同じ顔の女の子が立っている。

「2人っ、同じ人がっ」

 僕が混乱していると、九九も不思議そうに言う。

「あまりに似すぎだな。分身の術かよ」

 2人は同じタイミングでけらけら笑い、2人が並ぶように移動した。こう見ても全く同じ顔、同じ体格だ。

『いやいや、ただの双子ですよ。ちょっと似すぎなだけのね』

 でも、さっきの以心伝心の喋り、ただの双子でそこまでできるのか。

「あの、そのことなんですけど」

「ただ練習しただけよ。夢を壊すようで悪いけどね、白バラ君」

「何で分かったの、あとそうやって呼ばないでくれるかな。朝日 晶っていう名前だからね」

「ただの当てずっぽうよ、朝日君。私は東西 右(とうざい みぎ)よ。妹の方よ」

「ふうん、お前の方は何ていうんだ」

東西 左(とうざい ひだり)、姉よ」

 なるほど、2人は『そっくりで息ぴったり』でここに入学したのか。上3組には、科学的に評価されにくかったり、普通では有用性の分かりにくい特徴を持った人たちが集まっているようだ。では、僕は一体どんな特技を見初められてここに呼ばれたのだろう。正直、そんなものはこれまで生活していて実感したことはない。

こんな、変なやつらと一緒の学校に通えるとは思えない。誰かまともそうな人を探さないと。

 そう思って周りを見渡すが、すでにほとんどの生徒が教室をでていて残っているのは僕たち位だった。

「さてと、そろそろ帰るとするかい、お三人さん」

 僕は仕方なく九九の言葉に賛成して帰ることにした。今日1日ここに来て、収穫できたのはこの学校についてのほんの少しの情報と、白いバラ、あと帰りに教えてもらった九九のメルアドだけだった。

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