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■豊臣音々編(陸)

「な、何じゃこりゃあ? まるで嵐でも去った様な後じゃ!」


「これ全部、先に来た隊長達がやったというのか……信じられない」


「ま、まぁ、この位なら私にだって簡単に出来るなり!」


 と、強気な事を言っているが、実際の音々は目の前の状況に唖然としている。


「殆ど雑魚しか残ってない……隊長達、そうとう暴れたみたいだ」


 チェス界に到着した竜之介達。だが、そこは異様な状態であった。目の前には木材が重ねられているのかと思わず間違えてしまう位、チェスの骸が所々積み重ねられていたのだった。


「大将との一騎打ちの御膳立てをしてくれたという訳か……中々粋な事をやってくれるのう」


「と、言ってもこっちは三人なりね、さっさと秀光を探し出してその首を吹き飛ばしてやるなり」


「阿呆う! 首を飛ばしてどうするんじゃ! 持って帰らんといかんのんじゃ!」


「あはは……どうやら探さなくてもいいみたい。向こうから出迎えてくれてるぞ」


「あそこに居る男は……まさか秀光なりかっ!?」


 表にふらりと出てきた、秀光も一体何が起こったのか理解出来ていない様だった。自分の周りに散らばるチェスの骸を見渡しながらゆっくりと歩を進めている。


「我の駒が棋将武隊の奴らに尽く敗北を喫るとは……陣も整えていない内に奇襲をしてくるとは……油断していた」


 まだ此方に気付いていないのか、何処へ向かうともなく、一人足を止め、ただ周辺を見渡している。


「うはははは! 奴を見てみろよ! もはや裸の大将じゃ! のう、お前等――」


「飛燕――連牙なりいいっ!」


「ば、馬鹿野郎! いきなりぶっ放す奴が――!」


 音々は狙いを定めると、躊躇無く動作を繰り返した。飛燕から放たれた無数の氷弾が空気を切り裂きながら秀光を襲う。


「ふん、我を舐めるな……」


 何事も無かったように柳のように氷弾を交わす秀光。最後の氷弾は伊弉弥の刀身で叩き落とされてしまった。


「う、嘘なり! ぜ、全弾交わされたなり……!」


 ゆっくりと視線を竜之介の方へと向ける秀光。その表情は曇っている。


「誰かと思えば、貴様は竜之介か。何故那賀は我に通常連絡を怠ったのだ――」


 どうやら、竜之介達がチェス界に乗り込んでいる事を不思議に思っている様だ。


「馬鹿め! お前の手下はわしが根こそぎ刈ってやったわい! 知らせなんかある訳なかろうが!」


「成程な……那賀の奴、しくじりおったか、あの愚か者め」


 事の事態を理解させられた秀光は呟く様に言葉を漏らした。


「秀光! 周りを見てみい、もはやチェス軍は壊滅状態じゃ! これでお前もおしまいじゃのう!」


「お前は何を言っているのだ?」


「何じゃと?」


「我々の餌場が十洞千国だけと思うたか? 愚か者め。我の精鋭達は他界に出向いておるわ」


「竜之介……貴様は長信の仇を討ちに来たのだろう? ならば早く我に向かってくるがいい」


 確かに此処では駒が尽く潰されているが、秀光にとってはそれほど大きな問題では無かった。チェスの研究をし続けていた秀光は、目の前に転がっている骸達を乾電池を差し替える様にして、再び駒として戦わす事が出来る術を知っていたからだ。秀光はまるで「暇潰し」の様に退屈そうにして口を開く。


「此処で我を倒さねば、また惨劇が繰り返され、大事な『桜子』を失う事に――」


「よ、余計な事を喋ってるんじゃないなりいいい!!」


 更に秀光が言葉を重ねようとした所を慌てて音が声を割り込ませた。竜之介は「桜子」という名を聞かされ、一瞬何かを思い出せそうな気がしたが、それは直ぐに掻き消えてしまっていた。


「成程。今はお前なのか……良かろう。ならばお前の命を絶ち、竜之介を絶望に誘ってくれる」


 ゆらりと揺らいだ秀光の姿が見えなくなり、音々の前に再び現れると、振り翳した伊弉弥を一気に振り下した。警戒していなかった音々の頭上に悍ましい刃が迫った瞬間、剣が激しくぶつかり合う音がした。音々に向けられた一太刀を元治が空蝉で受け流していたのだった。


「……誰だお前は? 棋将武隊では見かけなかったな」


 見慣れない顔に疑問の表情を見せながらも、その鋭い視線は元治を睨み付ける。


「わしか? わしは毛利元治という者じゃ! その首を飛ばされる前にその耳かっぽじって良く聞いとけよ!」


「毛利――あの唯の弟か。唯の奴、我の研究に手を貸すのを拒みおって……忌々しい名だ」


 秀光は毛利という名を聞いて、能力の高い唯に自分のチェスの研究を手伝わせようとしたが「興味ないねえ」といって一蹴されてしまった。その弟と名乗る男は何故か手負いであり、本当に戦をする為にここへ来たのかという疑念さえも思わせた。


「竜之介……お前も何故こんな手負いの者を連れてきたのだ? 我には解せぬ」


 説明を求める秀光に、元治は自分が戦力になるという証明を見せる為に、苦痛に耐えながらも技の体勢に入った。


「やかましわいっ! 空蝉――氷羽!」


「おおおおっ!」


 元治が空蝉を振り切ると、氷で模られた蜻蛉達が鋭い刃羽の音を響かせながら、一斉に秀光を襲った。


「ほう。その体で動けるか、大した者よ」


 交わしながらも思わず感心する秀光。斬り掛かろうとする元治の背後から音々の怒鳴り声が浴びせられた。


「邪魔猿! 死にたくなければ、そこを退けなさいなり! 飛燕――破弾なりっ!」


「うおっ!」


 慌てて元治が其処から飛び退いた。その隙間を縫う様にして音々が放った氷弾が秀光を襲い、その直前で大きく破裂した。 


「ふん、小賢しい技よ」


 溜まらず伊弉弥の刀身で自分を庇った瞬間、元治が大きい声で叫んだ。


「竜之介、今じゃあっ!」


「おおおお! 風神――鎌鼬!」


 一瞬の隙を突いてその後方から走り寄ってきた竜之介が技を繰り出し、風が具現化した鋭い鎌はそのまま秀光を襲う、が秀光は失望する表情を見せながら体を横にずらして簡単に避けた。


「いい攻めだ――だが力が足りぬ」


「それでは我に――勝てぬ」


 伊弉弥で薙ぎ払う様にして一気に振り切った。その勢いは周りにいる三人を巻き込み大きく吹き飛ばした。


「がああああああっ!」


「きゃあああっ!」


「竜之介……貴様、報告通りチェスの力を失っておったか。その力もあれば僅かな勝機も見えたであろうが」


「我の闇に匹敵する力が無い今、お前達はもはや我の敵ではない」


「何故だ? 確実に一撃入った筈なのに!」


 確かに竜之介の一撃は入っていた。だが、その力は秀光の鎧の掠り傷を付ける程度の弱いものであった。本来であれば鎧毎、肉を斬っている筈なのに、予想を裏切られた竜之介は事態を飲み込む事が出来なかった。


「哀れな……その理由が見えぬと言うか。貴様の風神の刻印を良く見るがいい」


 その事実を秀光がつまらなそうに伝える。リンクを終えた風神はLV五の筈、という当たり前の思考で竜之介は改めて刀身を見た。だが、そこには刻印が二つしか現れていないという、衝撃な事実であった。


「――なっ!? LV弐!?」


「お前はチェスの力を失う事によって、本来の自分の持つ力しか出せなくなってしまったのだ。それでは青き剣――風神も意味を成さぬ」


「興醒めだ……貴様ら皆、死に行くがいい」


 秀光の重い一太刀が竜之介を襲い、その力に押され無様に地面へと打ち付けられてしまった。


「がああああっ!」


「――ちいっ! 空蝉――」


 痛みを堪え、技を繰り出そうとする元治の目の前に秀光が無表情のまま現れた。


「無駄な事を――」


 そのまま伊弉弥を振り翳し、容赦ない一太刀を右肩に浴びせた。


「ぐふうううっ!」


 肩を押さえながらふらふらと後退する元治に一瞥しながら秀光が言葉を吐いた。


「まずは……毛利元治、貴様から死ぬがいい」


 その時、空蝉から飛び出した薄羽が両手を広げて元治を庇った。


*元治には手をださせませんっ!*


「精霊如きが……何の真似だ?」


 邪魔をされ、眉を歪めて苛立ちつ秀光。その後の展開を読んだ元治は叱る様にして薄羽に向かって叫んだ。


「薄羽! そこを退けんかい!」


*嫌っ! 私はこれ以上元治が傷つくのを見たくはないのっ!*


 その言葉に元治の心が一瞬揺らいだ。


「そうか――ならばお前諸共切り捨ててくれよう」


「このままじゃまずい! ハル! 頼む、もっと力を貸してくれっ!」


 なんとか立ち上がった竜之介は元治を助けようとハルに話し掛けた――が、その返答は竜之介を突き放す厳しい言葉であった。


*竜之介……残念だが、それは叶わぬ。お主の持つ器がそこまでなのじゃ、今のお主では十パーセントの力も出せぬ……*


「そ、そんなっ!」


 愕然とする竜之介の目の前で無常にも伊弉弥が振り上げられる。


「クククク……力を失うという事は全てを失うという事だ、無様に死ね……」


 そのまま薄羽へ向かって鋭い一太刀が浴びせられた。


「ぐああああっ!」


 竜之介の目の前で血飛沫が飛び散った。だが、斬られたのは元治であった。元治は薄羽が着られる瞬間に、身を挺して体で庇ったのであった。


*元治ううううっ!*


「――愚かな。精霊如きを庇うか」


「全ては圧倒的な力。これに勝るもの無し。故に貴様らはここで終わりだ」


*嫌っ! 元治! 元治っ! お願いっ! 死なないでえええっ!*


 地面に横たわる元治に薄羽は涙を滲ませながら、必死に声を掛けた。


「……薄羽、耳元でぎゃあぎゃあ騒ぐなや。鼓膜が破けらあ……」


*元治っ!*


「何だと? 今の一撃でまだ生きているだと……貴様は化け物か?」


 通常であれば、間違いなく息絶える一太刀であったと秀光は思っていた。だが、目の前の元治は瀕死ではあるものの、元治にはまだ息がある。秀光はより一層、顔つきが険しい物となった。


「化け物……そうじゃ……のう。化け物には……化け物しか対抗出来んようじゃのう……」


 呻きながら元治は竜之介の方を見ながら呟き、申訳なさそうな悲しい表情を浮かべた後、眦を上げて薄羽に命令する。


「薄羽……退いとけ……暴れるけえ、怪我……すんぞ……」


*元治何を――!*


 薄羽が叫んで、元治に近付こうとした瞬間、異変が起きた。


「……ぐが」


「ぐがううううう ぐがウウウウ! グウオオオオオオオッ!」


 口から鋭い牙を見せ始め、眼が悍ましい光を放ちながら元治は吠え始めた。やがて、その全身から雷が迸り始める。


「な、全身から雷だとっ? この者は一体ッ!?」


「元治! お前は――!!」


 竜之介の声を打ち消すかの様に元治の咆哮は辺り一面を振動させ、轟いた。


「グオオオオオオオオオッ!」


「どうしたアア? 秀光ウウウ、お前は、化け物と戦いたかったんじゃろうがああアアアアアッ!」


 そのまま、力強く地を踏みしめながら、秀光へ向かっていく。


「この力、この世の物では――!」


 思わず秀光は後方へ退いた。


「お前のお望み通り、相手をしちゃらアアアアアア!」


「空蝉イイイイイ、雷刃らいじんッツ!!」


 元治が一気に雷を空蝉に注ぎ込むと、日本刀が妖刀へと変化し始めた。


「あり得ぬ! 剣の形が変わるなどと!」


「くらええええ! わしが封印しとった力おおおおっ!」 


 一気に妖刀を秀光へと振り抜く。桁外れの雷撃は秀光を直撃して、一気に飲み込んだ。


「あがあああああああああっ!!」


 全身から黒い煙を燻らせながら苦痛の声を上げた。手に持つ伊弉弥を振り翳そうとした秀光はその異変に気付く。


「ぬううううう! 我の体が動かぬううう!」


「秀光の足がとまったなりっ! 竜之介、今こそ首を討つなりいいいっ!」


「うおおおおおっ! 絶対斬ってみせるっ!」


 風神を翳しながら、竜之介は必死に斬り掛かった。


「愚か者めがっ! お前の非力な力では我を討ち取れぬ事、叶わぬわあああッ!」


 確かに――今の風神の力では秀光の首は討ちとれないであろう。それでも竜之介は真っすぐ秀光へ向かって突っ込んでいった。それは、後方で勝利を確信する音々の自身に満ち溢れた声に背中を押されていたからであった。


「アイリス! 全開でいくなりいよっ!」


*音々! 了解っ! いっけええええっ!*


「飛燕――掌弾なりいッ!」


 音々の放った一撃は竜之介が振り切る風神の速度に合わせる様にしてその刀身に命中させた。その瞬間、風神の一太刀が更に鋭く強い一太刀に変化した。


「秀光ううううううッ! 覚悟おおおおおっ!!」


「斬撃の力が上がっただと――ぶっ!?」


 風神の刃が秀光の首へ食いついた瞬間、音々の氷弾がそのまま押し斬って、秀光の首を宙へ高々と飛ばした。唖然とした生首はそのまま地面へ落ちて、鈍い音を立てながら、二転三転と転がって止まった。


「や、やった! やったぞおっ! 秀光を討ちとったあああッ!」


「元治っ! やったぞ! 俺達、秀光を倒したんだっ!」


 喜びを伝えようとして元治の方を振り向いた時、元治は全てを出しきったのだろう、地面に倒れ込んだまま、もはや虫の息であった。


「竜……やん、騙して……悪かった……な。お前の友が……こんな……化け物で……よ」


「ほんま……に、すま……んかった」


 力なく笑うその視線は竜之介を見ていない。


「元治……そんな事を気にしてたのか? ふざけんなよ! 姿がどうであれ、元治は元治じゃないかっ!」


 元治の耳に届いた言葉は、以前チェス化した竜之介と戦って葛藤した自分の言葉と重なった。


『こいつは間違いなく竜やんなんじゃ! 何時もわしの横で屈託なく笑っていた、あいつなんじゃ!』


「へ……へ。わしは、ほんま……ええ友に……巡り会えた……のう」


 視界が闇に飲まれながらも、元治は嬉しそうに笑った。


*元治! ここに良い女、薄羽もいるんだからねっ! 忘れないでねっ!*


「……お、おお、そうじゃった。そうじゃっ……た……」


 その言葉を最後に元治の瞼は完全に閉じてしまった。


「お、おい! 元治……嘘だろ? 目を開けろよ! おい! 元治っ!」


「馬鹿野郎っ! 死ぬな! 元治うううッ!!」


「おおおおおおおおおおお!!」


 竜之介は天を仰ぎながら、生涯の友を失った事に悲しみの咆哮を上げるのであった。






「――で? 竜之介は完全に元治が死んだと思ったのかい?」


「そうなんじゃ! こいつわしにしがみついて『元治ううっ!』って大泣きしよったぞ」


「……う、だってしょうがないだろ、あんなの誰が見たって死んだって思うぜ」


「それに、俺以外に鼻水たらして『もどばるううう!』って泣きじゃくってた精霊もいたし」


*はうっ!*


「ちなみに私は不死身猿は死ぬ訳ないと、端から思ってたなりけどね」


 唯の地下研究所。そのベットの上で元治は重症ながらも屈託ない笑顔を振りまいていた。


「まぁ、何にしろ一件落着じゃ。そういや竜やん、お前等此処を抜けるんだってな。姉貴から聞いとるで」


「ああ。今の俺では間違いなく戦力にならないし、仇討ちの目的も果たしたしな……今度は音々の願いを叶える事にしたよ」


 信長の仇討ちを成し遂げた竜之介は、この戦を最後に、音々と一緒に棋将武隊を去る事を決めていたのであった。


「そうかあ……寂しいが、わしもそれを望んどったけえのう」


「元治……今日まで本当にありがとうな」


「何じゃい、その言い方じゃわしらの付き合いは此処までなんか?」


「ち、違うぞ! 俺とお前の仲はこれからも永遠だ!」


「おいおい、そんな事言うから誰かさんが餅みたいに頬を膨らませてるぜ?」


 元治の言葉通りにその傍らで音々が頬を膨らませ、気に入らなそうに二人を見ていた。


「あははは……」


 苦笑いをしながら音々を見たが、「知らないなり」と、ぷいっと顔を背けられてしまった。


「――で、薄羽に精霊の契約解除してもらったんか?」


「ああ、抜ける時の規則だからな。一般人として生きる者は精霊との契約を解除して此処に鍔を置いていく事ってな……」


「――そうか。で、あいつらの反応はどうじゃった?」


「アイリスとハルか。二人共喜んで受け入れてくれたよ……」


「――そうか」


 元治は満足そうに頷く。アイリスもハルも契約を解除する間際、それぞれ「本当に良かった、末永く幸せに」と、二人の背中を優しく押して、満足そうに消えて行ったのであった。


「あ、そう言えば、秀光の首はどうなったんだ?」


 竜之介の問い掛けにすかさず唯が反応する。嬉しそうな表情を浮かべながら、秀光の生首が入った容器を差し出した。


「んー? 此れの事かい? 竜之介くうん?」


「うわっ! 唯さん、あから様に見せないでくださいっ!」


「いやあ、反応を見たかったもので、つい、許してくれ給え。ふふふふのふ」


 「やれやれ」といった表情を見せながら竜之介は腰を上げた。


「――それじゃあ、そろそろ俺達は行くよ。元治、また会おう」


「おう……またな竜やん」


 元治に最後の挨拶をした後、優しく音々に手を差し出しながら微笑みかける。


「行こう、音々」


「はい……なり」


 音々は照れながらも、その手をそっと掴む。そのまま隊長達に囲まれて二人は門へと送り出されて行った。竜之介は石段の手前にある剣士の丘の長信と宗政の墓を見つめながら、断片化した記憶を辿ってその一頁、一頁を懐む。


 やがて静かに頭を下げて顔を上げた竜之介は、音々と顔を見合わせ、嬉しそうに頷き合い――石段の向こう側へと姿を消した。


 竜之介達が去った後、唯の研究室に静寂が訪れる。うっすらと青い光が浮かびあがって秀光の生首が入った瓶が不気味な光を放っていた。


 やがて秀光の瞼がゆっくりと開き始める。そして満足そうににたりと笑うと、気泡を立てながら液体の中へと消えていった――。


「と成」の竜之介 豊臣音々編(完)


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