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十六夜鏡  作者: stenn
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風花7

暴走気味ですが百合要素はココだけです……

苦手な方すいません(;´Д`)

必要か。と言われれば。『必要だった』です(ToT)

 私は彩を連れて階の端にある準備室に身体を滑り込ませた。授業で使うのだろう。珍しく鍵がかかっていない。小さな部屋には予備の机や椅子。古びた地図や大きな三角定規などが押し込まれていた。案外よく使われるのだろうか。埃はそこまで溜まっていない。


 彩が『ここは』と言ったような気がしたが聞こえないふりをして隙間から外を覗き込んだ。


 見ていると何人かが追いかけて通り過ぎていくのが分かった。すごい形相で怖かったがとりあえずよかった。と思う。もうすぐ授業が始まる。そのころに出て行けばいいだろうか。音をなるべく立てないようにして扉を閉める。


 私は胸を撫でおろし彩に目を向けた。


「――ったく。とにかく。このことは先生に言って何とか処理を」


 使えない教師を思い出して私はため息をついた。だとしたらどこに言えばいいのだろうか。警察は違う気がする。


 だが彩はそんな事どこ吹く風で私に抱き付く。私より数段小さくて細い身体。柔らかく温かな小動物のようだった。


「ちょ?」


 ふふふふ。と不敵に笑うその声に悪寒が走るのを感じた。


「二人きりですね? 知っていますか――先輩。ここは恋人たちが二人きりになるためにわざと鍵が壊されているんです」


「はっ?」


 戦慄が走る。そんな事知らないし知りたくも無い。頭から血が音を立てて引いていくのが分かった。


「大胆ですね?」


 なにが?私は声にならない声を上げた。


 彼女はなんだか目が座っている気がするのは気のせいだろうか。怖い。一瞬『ファンクラブ』に差し出した方がよかったかもしれない。そう脳裏に過る。しかしながらそんな酷いこと自分にはできるはずない。


 ――けど。この状況はどうすればいいだろう。混乱を始める頭を整理する。逃げなければと思うのだけれど時折通り過ぎる女子生徒に足が動かない。早くチャイムが鳴らないかと願うばかりだった。


 こんな時でもこの少女を護ろうとする自分がとても悔しい。


「いや、あのね。私付き合わないよ? も、もう行くし。逃げて来ただけだから」


 潤んだ瞳。恐怖にごくりと喉を鳴らして、一歩後ずさりした。ただ――狭い空間だ。踵に何か引っかかってバランスを崩し、近くの机になだれ込む様に座り込む。微かに身体が痛んだがそんな場合ではないのだろう。


 彩はにこりとした。その笑顔がまた怖い。


「ひ、私の一つ下だよね。何でそんなに怖いのよ? な?――ちょっと?」


「大丈夫ですよ。優しくしますから」


 言うと彩は制服のジャケットを脱いだ。


「なんで?」


 ――まずい。ジワリと額に汗が滲む。『彩は本物』だと全身から警告が発せられているが逃げようにも肩を抑えられ、両膝の間に身体をねじ込まれている。


 結構きわどい態勢だった。


「何が?――いや、あのね?」


 どこにそんな力があるのか押し込められている肩か酷く痛い。私は何とか彼女の肩を掴んで抵抗を試みる。しかし強引に押し込められた。


「大丈夫ですって――」


 ドクドクと心臓が脈打っている。にじみ出てくる汗。息がつまりそうだった。


「ちょっ! ――や――」


 私のブラウスに手を掛けようとした刹那――がらがらと鈍い音がして準備室の扉が開いた。弾け飛ぶようにして起き上がる彩。私はのろのろと顔を上げた。


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