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適当な自己紹介

 どうしようもなく、笑える人生だった。


 小学生にして、中二病だと言われた逸材。それが僕だ。

 笑えるだろ?

 まぁ、かなり不本意ではあるが、割と納得してる。自分でも痛いと思うほどひどかったからな。

 いやでもさ、それでも僕をそこまでいじめるのはなくないか? 僕どんだけ泣いたかな……。

 でも、あの子がいたからまだ耐えられたんだよな。逆に、いなかったら……耐えられなかったってこと。

 そんな弱虫な僕だから、キミはいつも僕を守ってくれてた。……よくは分からないけど、多分、好きだったんだろう。僕は、キミのことを。

 だから、ただ一言伝えたかったんだ。キミに、「好き」だって。

 それすらできずに、現実は僕の前から消えた。



「高校一年、O型、三月生まれの十五歳、鈴城澄」

 それが僕のプロフィール。あぁーんど自己紹介文。高校入学初日、クラスの自己紹介での発表だ。ついでにもっと詳しく言うと、小学校の頃は中二病とイジメられ、中学ではそれが影響で数か月引きこもり、ようやく出てきたと思ったら、友達なんかできるはずもなくぼっちの2年半。さらにさらに、ぼっちが影響してコミュ障という、どこまでもダメな人間の像、それが僕。

 構わないさ、別に。誰とも話す機会なんてないだろうし、だったら別にコミュ障だろうとな。

 知人が誰も受けないような偏差値68の高校を受け、運よく推薦で合格し、勉強がバカらしくなって、合格した後の残りの2か月をゲームして過ごした、本当にダメな人間です、はい。

 おかげで、最後の最後で中学の通信表、オール5を逃し、少ぉーしだけ落ちた気分で卒業。

 卒業式? あぁ、なんかみんなは泣いてたけど、僕は正直なんとも思えなかった。生徒がイジメられてる現場を見て、見ぬふりをするような教師陣のために涙を流すなんてもったいなさ過ぎる。


 結局この世は、力ある者の支配、によって廻っているのだと、幼いながらに悟った。


 話を戻そうか。

 まぁ、そんな感じで不愛想な自己紹介だったため、僕に寄ってくる奴なんてほとんどいないわけで。

 高校も、ぼっちでスタートした。



「……めんどくさ、一年は部活強制入部かよ……」

 部活。

 これを基準に学校を選んでいた者もいたな、中学には。

 馬鹿馬鹿しい。高校は将来の自分のために通う場所のはずだろう。なぜそのような一時期だけの遊びのために、自分の将来まで左右しなくてはいけないのだ。

「……めんどくさ」

 僕はもう一度呟いて、一日目の部活動見学をサボった。



 自分がぼっちであることを自覚したぼっちが考えること。

 それは、いかにして周りから自分の存在を消すか、である。

 今更周りと関わって生きようなんて思わない。正直、鬱陶しいと思うくらいにまで来てしまった。別に改善する気もないが。

 ならば、自分の存在を消して、話しかけられないようにすればいい。

 ただでさえ、周りは僕から興味を失っている状況だ。そこで自分の影を消すなんてことは容易い。事実、中学では成功していた。

 それを高校でも発揮している。


 ――だけど


 部活。この空間だけは、さすがに自己の存在を消すことはできない。

 中学時代は生徒会という七面倒な活動をしていた。役割を押し付けられていたんだ。名前だけは副会長。その実、ただの雑用係。生徒会の活動中だけは、僕の存在感はやたらと大きかった。


(あぁいいさ、とことんやってやる。お前らの目を丸くさせてやる)


 そう意気込んで仕事を無言で、真顔で、ただ黙々とこなしていた。


(前たちがいくら僕を屈させようとしても無駄だ)


 ただ、黙々と。


 黙々と。

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