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現代もの

雨女

作者: 花ゆき
掲載日:2013/05/23

私は激怒していた。

いつまでもプリンターの使用権が回ってこないからだ。

コンマ数秒で人生が変わるといっても過言ではない、そんな地点にいる。

では、どうして人生が変わるのかという点なのだが、一重に自分が悪い。


今日に限って大学のパソコンの使用率が高すぎる。

分かっている、提出日ギリギリまでやらなかった自分が悪いことなど。

いや、しかし、貧乏学生には悲しきかな。アルバイトをせねば生活が出来ないのだ。


嘘をついた。

正直に言おう。ハマっているゲームに新作が出た。

やりこみ要素の高いそれに夢中になっているうちに、今日になっていたのだ。


そんな有様を見ていた友人様に、レポート写させて欲しいと頼んだが、自業自得とのこと。

ま、そうですよね。そううまくいくはずがない……。

即座に自主休講をして、なんとか形にはした。


そこで気づいたのだ。

提出しようにもプリンターが開いていないと!


どうする、どうするんだ。

家に帰ろうにも一時間はかかる。その間に提出期限は過ぎる。

単位習得不可、留年こんにちはだ。


いつまで印刷してるんだよ。

肩を怒らせていると、同じ学科の男が声をかけてきた。


「さっきから立ったままだけど、どうした?」

「レポート、印刷、不可、留年……」


頭のなかをグルグルと駆け巡る死亡フラグが、この上なく私の寿命を縮めている。


「ブハッ、レポート印刷したいけどできないって? 待ってろ、知り合いいっから貸してくれって頼んでくる」


少し離れた場所で見守っていると、彼がうまく頼んでくれたようだ。

手招きをしている。ナイスだ、山田(仮)


「助かった、さんきゅ」

「お礼といってはなんだけど、今度駅前の喫茶に行かないか?」


印刷は完了した。

何か山田(仮)が言っているが、後で聞こう。さらばだ、山田(仮)




意気揚々と東館を出た時、事件は起こった。

雨だ。これではレポートが濡れてしまう。

ここでも雨女の力を発揮しなくてもいいから。

怒りで、雨が蒸発するんじゃないかとさえ思った。


あと、わずか数分。

どうするかは決まっている。





「あー、コンマ30秒セーフだねぇ。先生は残念だ」


息切れして、なかなか話せない。

無言で、レポートを差し出す。


「どうも。でも頑張ったねぇ、この突発的な豪雨の中、レポート守って君がずぶ濡れだもの。

やっぱり君が提出する時には95%の確率で雨が降ると立証されそうだよ」


小声で儲かったなと聞こえるんですけども、先生たちでなにしてるんですかね。

とにかく、単位くれ。

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