あらすじっぽいプロローグ
ゆっくり更新していこうと思っています。
この世界の魔法の源は家だ。
家が主を筆頭に住まうものを認知すれば魔力を発現させる燃料は惜しみなく供給され
築年数が経れば経るほど使役する度合いは大きく増していく。
魔法は生活に欠かせない労働力であり、家は家族を養う大切な住居で個々の人間の価値を
決める重要な要素の一つになっていた。
だからこそ、家の売り買いは大金が動く最も規模の大きい産業の一つだった。
通常、家を手放す方法は2種類ある。不動産が誓約書をもって主の合意の下手放すか、次の主へと代替わりするか。
前者の場合家の意志は関係なく、例え家自体が拒んでも上回る強い強制力を持った誓約書には逆らえない、後者は家が次の主を選び前の主と前の主を介して分配していた全ての住居者は力の供給と住む権利を失う。前者とは逆に後者は家が主導であり主の意志は無視される。この間誓約による売買は不可能となる。
しかし希に誓約が済んだ直後、家が主を移してしまうことがある。
そうなった場合、大人ならば金銭の受け取りの前であれば誓約の破棄、もしくはもう一度誓約しなおすことができる。だが問題は子供だった時、誓約は結んだ瞬間に責任と縛めを背負う行為のためまだ何の権利も力も認められない未成年者は交渉する余地がない。結ぶことも破棄することもほぼ不可能に近いので前の主が保証人となって代行してもらうほかない、そして家は己の存在価値と力を象徴する存在、それを競売にかける者はそのほとんどが貧しい、社会の脱落者手前の人間ばかりだった。最悪、口減らしとして子供ごと家は売り渡される。
主人公フラットリー少年もそんな家に縛られ捨てられた一人だった。
馬鹿な父親が借金を繰り返しそのかたに手放されるはめになってしまった古い木造の家、
ある意味やっと家族から解放され一人で生きていこうとしていた少年にとって、これは青天の霹靂だった。しかも父親はあろうことか家もろとも自分を売り渡そうとした。
少年は魔法を使い無我夢中で逃げた。幸い、実家の力は古い分かなり強かったため逃げるには容易だった。逃げ続け、逃げ続け子供がたどり着いたのは同じように誓約から逃げ延びた子供たちが集まってできた、城だった。
子供達が身を寄せる家々が継ぎ接ぎにくっつきあい一見まるでガラクタの山のような隠れ家。子供たちは出自も事情もバラバラだったがほとんどが追われており、継ぎはいだために生まれた強大な魔法を用いて大人たちの目をくらませていた。
家を持ちながら地に足のつかぬ子供たちの行動はとても自由だった。城はひとつところにとどまらなかったが魔法を使い色々な土地へ行くことができる。働く者、自由気ままに旅をするもの、家々内を管理するもの、商売をするものそれぞれだ。逃げ込んでくる者もいれば大人になって出て行く者もいる。
主人公の少年は仲良くなった年長の青年と食堂を営んだ。
そして数ヶ月すぎたころ、食堂に煌びやかな衣装をきた娘が逃げ込んでくる。
追手に追われていたが家をついではいない娘に訝しみつつ匿い、話を聞いてあまりの突拍子のなさに驚愕した。少女はなんと王族のしかも正真正銘直系の姫で家を継がさせられそうになり、逃げ出したのだと。
この国の王とその周りを固める政治家たちは皆、家に選ばれた当主がなる。政治と共に軍事力も担うからだ。そして、即位の時期は突然やってくることが多い。魔法が使えなくなった瞬間、新たに継いだ者を通して再度家に認められ魔法を使えるようになるまでに例え賢王であったとしても殺される率が多いからだ。そして、時代の、特に王位はまだ幼い子供が継いでしまうと補佐(前王が存命ならその人物が)となり取り仕切ったり、もしくは成人まで王位が変わったことをひた隠しにする。
娘はそのどちらもできないから自分が逃げるしかなかったといった。
今の王には不仲の兄弟がいる、家に選ばれているからこそ手出しをされず安定した治世を維持されているが自分に代が移れば確実に現王は暗殺されその不仲の伯父や叔母たちが代行になろうと争い合うだろう。
王族から王を選ぶ家は宮殿。その内包したくらぶるまでもない破格の力の供給をもつ家屋を継ぐにはその超大な力ゆえに時間がかかる。現主がいる状態でも徐々にその資格を分譲していくのだ。その為暫定的にだが主が二人いる状態になるのだ。
その移行はすでに始まっている、だから娘は少しでもそれを遅らせるため逃げ出し、噂になっていた子供たちの集う隠れ家を探していた。
他にも別荘を持っていた娘は半ば強引に隠れ家に入り子供達に協力を求めていく。
その際、隠れ家と娘はある条件を取り交わす。
無事逃げをおおせた時、自分たちを縛っている誓約を何とかしてくれ!
少年たちはその約束を信じ、娘をつれて彼女が成人をするまでの約半年間逃げ続けることを決める。