表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天魔の落とし子と追放女神 ~命の恩人と始めた2人きりの居場所は、やがて世界を照らす最強の聖域となる~  作者: スージー・ウエストウッド
第1章 天魔の落とし子と追放女神

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/20

9話 4精霊と陽だまりの少年

天界を追放された天魔少年と、森の奥で暮らす元女神様の、温かく甘甘なお話です。


個人的にもお気に入りの4精霊再登場です。

 意気揚々と階段を降りきると、そこには広々としたリビングが広がっていた。

 朝の光が差し込む窓辺には、三人の人影が(あるじ)の目覚めを待っていたかのように静かに(たたず)んでいる。


 赤髪をオールバックにした、燕尾服(えんびふく)片眼鏡(かためがね)の青年。

 水色の長い髪を揺らす、メイド服に涼しげな瞳の少女。

 そして、黄金色の髪をふわふわとさせた、ワンピースを着た幼い少女。


 ネアは彼らの前に立ち、少し緊張しながら背筋を伸ばし挨拶をした。


「改めて、おはようございます。僕はネアと申します。昨日は看病いただきありがとうございました。おかげでこのように回復しました」


 ネアは顔を(ほころ)ばせ、続ける。


「今日からここで、家事や管理を担当させていただくことになりました。よろしくお願いします!」


 ネアの丁寧な挨拶に、まずは赤髪の青年が一歩前に出た。



「丁寧なご挨拶、痛み入ります。怪我が回復して何よりです。私は(あか)。レフィーナ様の身の回りのお世話や料理、および外敵の排除を担う火の精霊です。主様を救っていただいたこと、眷属(けんぞく)の一人として心より感謝いたします。……これから家事を行うにあたり、火力の調整が必要な際はいつでも仰ってください」



 続いて、水色の髪の少女が静かに会釈(えしゃく)する。



「私は(あお)。屋敷内の清浄を維持し、この森をはじめとした水の管理をしている精霊です。貴方の周りに汚れがあれば、私がすべて浄化しましょう。水が必要なときは、私に声をかけてください。清らかな水を用意します」



 最後に、黄金色の髪の少女がトコトコと寄ってきて、ネアの服の裾をぎゅっと掴んだ。



「わたしは"きー"。つちのせいれいだよ。このおうちをなおしたり、かぐをつくったりするのがおしごと。……ネアのちかく、なんだかひだまりみたい。きー、ネアのことすきになっちゃった」



「え!? あ、ありがとうございます」


 思ってもみなかった言葉に言い淀みつつも感謝を告げる。

 レフィーナからもだが、こうやって直球に好意を告げられたのは久々だったのだ。

 むず(がゆ)い気持ちになるも、心がとても温かくなっていた。


 三者三様の挨拶を受け、ネアは圧倒されながらもレフィーナへの敬意と絆を感じていた。

 彼らは昨夜、ネアの看病を申し出てくれた、レフィーナの眷属、この森の精霊たちだ。


「皆さん、これからよろしくお願いします! あれ、(みどり)さんは……?」


 ネアが首を傾げた、その時だった。


「よっと。お待たせ! 噂の主役はもう起きたのかい?」


 大きく開け放たれた窓から、心地よい突風と共に、一人の少年が飛び込んできた。

 緑色の髪を短く跳ねさせた少年は、窓枠を蹴って軽やかに着地すると、抱えていた大きな麻袋(あさぶくろ)をテーブルの上にドサリと置いた。


「お帰りなさい、緑。村との交渉はどうでした?」


 レフィーナの問いに、少年――緑は親指を立てて笑った。


「あぁ。いつも通り良好でしたよ!」


 緑は満面の笑みで麻袋を指さした。


「どちらかへ、お出かけだったのですか?」


 ネアの不思議そうな目を見た緑の少年は、ニカっと笑いながら答えた。


「おぅよ! この森から一番近いルズの村までひとっ飛び! あそこの村長と物々交換をしてきたのさ。森で採れた珍しい薬草を届けてやる代わりに、連中が作った小麦粉や卵、それに野菜をもらってくるのさ」


 ネアは目を輝かせて袋の中身を覗き込んだ。

 天界の最高級食材のような華やかさはないが、どれも土地の香りがする力強い、生命力に溢れた食材ばかりだ。


「村があるんですか? ここから近いのですか?」


「あぁ。俺が風に乗って飛んでいけば、一時間くらいかな。もっとも、普通の人間が歩いて来ようと思ったら、この広大な森を何日も彷徨(さまよ)うことになるだろうけどな」


 そこまで言うと、緑の少年はずいっとネアの前に進むと挨拶した。



「そういえば自己紹介がまだだったな! 俺は(みどり)! 風を操り、外の世界の情報を集める偵察官(ていさつかん)ってところかな。あとは見ての通り、こうやって物資の調達なんかも担当してる。こう見えて、風の精霊ってやつだ! よろしくなっ!」



 緑の少年が、ネアの白銀の髪をわしゃわしゃと力強く撫でた。


「わっ……!」


 ネアは一瞬、ビクッと肩を跳ねさせて身体を強張(こわば)らせた。しかし、頭に触れた緑の精霊の手はひんやりとしているにも関わらず、軽やかで、どこかくすぐったさを感じさせた。


「あっ、ネ、ネアと申します! 至らないところも多いと存じますが、よろしくお願いします」


「ははっ、いいねぇ! なんだか弟が出来たみたいだ」


 風の精霊は上機嫌にネアの髪をわしゃわしゃと撫でる。

 そんな精霊に、ネアはおどおどした様子で問いかけた。


「あの……緑さん。一つお聞きしてもいいですか?」


「ん? なんだい?」


 ネアは少し体を縮こませながら聞く。



「その……村にいる人間の方たちって、やっぱり恐ろしい生物なんですか……?」



 ネアの問いに、リビングの空気がわずかに止まった。



お読みいただきありがとうございました!

初めてで右も左をわかっていませんが、「面白い!」「続きが読みたい!」と思っていただけましたら、ページ下にある【☆☆☆☆☆】をタップして評価していただけると嬉しいです!

ブックマーク登録もぜひよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ