残り:364日
今日は入学式だ。僕の青春の始まりであり、絶望への第一歩だ。
僕は朝田より早く起き、朝食の準備をしたり学校へ行く準備をした。
「んあー起きてたのか阪田」
「おはよう朝田」
「お前、本当に適応力高いよな」
「昨日も言ってたけどどう言うこと?」
「大体こういう時って逡巡するものなんじゃないの?」
「いやーその辺割り切ってるからなー」
「そうか」
彼女はそう言って朝食を食べはじめた。
朝食を食べ終え朝の身支度を終わらせて、僕は学校へ出発した。
寮なのもあって学校にはすぐ着いた。
学校に着き、入学式を受けた後何故か、僕ら新入生は旧校舎へ移動させられた。
なんでも今、現校舎では科学部の実験が大失敗し、危険な状態らしい。
そうして僕ら新入生は、クラスごとに仮教室に移動した。クラス名簿を見ると朝田が同じクラスだった。
「なーなー、あんたどこ出身?」
クラス名簿見たりしながら、先生が来るまで時間を潰していると前の生徒が話しかけてきた。
「あーすまん、名前入ってなかったな俺の名前は多賀光、気軽に光って呼んでくれ」
「わかったよ光、どこ出身だったかね僕は埼玉の方の出だよ」
「埼玉の方か、俺は神奈川の方だこれからよろしくな」
光と話しながら時間を潰していると、ジリジリジリと火災報知器がなった。
「なになになに」
一緒に話していた、光がお手本みたいな驚き方をしていた。
最初の数秒はみんな慌てていて、避難できていなかったが、少し経つと少し落ち着きみんな避難した。無論僕もみんなと一緒に避難した。
校庭に出ると、先生たちがいてみんなの避難誘導をしていた。ふと旧校舎をみると炎が激しく揺れていた。
「これだいぶやばそうだな」
「そうだぬ」
一緒に避難してきた、光と話しているととんでもない話が回ってきた。どうやら朝田が校庭にいないらしい。
僕はそのことを聞いて無意識のうちに立ち旧校舎へ走った。
「ちょ、どうした阪田旧校舎危ないだろ」
そう光に止められたが、僕の足は止まらなかった。
ボゥーボゥー
そんな音がするくらい燃え盛っている炎の中、仮教室へ向かって走った。
バタン!と扉を勢いよく開けると朝田が教壇の上に立っていた。
「何してんだ朝田、早く避難するぞ」
「こっちこそ聞きたいよなんでいるんだ」
「朝田がいないって聞いて旧校舎まできた」
「あんた馬鹿なのか」
「馬鹿で構わんから早く逃げるぞ」
「嫌だ」
「なんでだよ」
「死にたいからよ」
「そんな理由認めない」
「なによ、自己中ね」
「自己中で構わん」
「あんたにはわかるの一人で生きていくのがどれぐらい辛いのか、両親が目の前で死んだショックが」
「わかるなんてお世辞でも言えないが、一つ言えることがある」
「なによ」
「ここで死ぬのはよくない、僕の持論だけど死んで残るのは後悔と愛だけだ」
「それがなんだ、それが残るから死ぬなってことか」
朝田は語気を強くして言った。
「違う、ただ朝田の両親が残してくれた愛を無駄にするなってことだ」
朝田は何かに気づいたように、ハッとした表情になった。
「そんなに引き止めるならいいわよ早く逃げましょ」
「やっとか」
僕は朝田の説得に成功して、身体の力が抜けると今まで無茶が祟って足がふらついてきた。
「おい阪田大丈夫か阪田」
その言葉を聞いて僕はうん、とだけ答えて走って逃げた。
そうして、旧校舎を出ると更なる安心でとうとう僕は倒れた。
「阪田、阪田、阪田!」
その言葉がぼんやりとだけ聞こえて意識を失った。