残り365日
「阪田さん、三番診察室にお越しください」
僕はやるせない気持ちで、診察室まで足を運んだ。
「本日はお越しいただきありがとうございます」
「そんなかたく話さなくていいですよ、中野さん」
「いやー、一応ちゃんとした病院だし」
「何年前から僕のかかりつけ医をやってるんですか」
中野さんは僕にとって育ての親のような存在だ。
「それもそうだな」
「それで、今回の検査結果はどうでしたか?」
僕がそう質問すると中野さんは今までの緩かった表情が神妙な表情になった。
「単刀直入に言おう、お前の体は持ってあと一年だ」
「とうとう余命宣告まできましたか」
「ショックじゃないのか?」
「この病気に罹ってから少し悟っていましたよ」
僕の病気は今のところ、自然治癒でしか治る以外の治し方が見つかっていない。しかも、自然治癒で治すにも治るギリギリまで病題が悪化し、そこでほとんどの人が亡くなる病気だ。
「どうする?入院する?」
「僕はもうギリギリまで普通に行きますよ、特に思い残すことも無いですし」
「まぁお前も今年から高校生だしな、最後ぐらい楽しんでこい」
「ありがとうございます」
そうして2015年春、僕の命日が決まった。
その後、受付を終わらせ今日から僕の家となる高校の学生寮に足を運んだ。
学生寮に着くと、僕が予想していなかった人物が寮の部屋いた。
うちの学校の寮は3つある。一つ目は男子寮、二つ目は女子寮、そして三つ目は共学寮だ。
共学寮は他の二つの寮と違って賃料が安く、お金がない僕にぴったりだった。それにこう言う寮に住むはたいていが男だと思って、女性と相部屋になることはないと思っていた。
しかし、目の前にいるのは女性であった。
「まさか相部屋の相手が男とだとは」
目の前の女性は残念そうにため息を付き、僕の方へ近づいてきた。
「どうも、三年間ここで一緒に暮らす朝田 幸よろしく」
そう彼女は無愛想に言った。
「僕の名前は阪田 和仁よろしく」
「言っとくけど手を出したらしばき倒すからね」
「そんなことしないって」
「本当だな」
「うんうん、本当」
「それならいいけど」
そうして各自で時間を潰していると、気づいたら夕飯だ気になっていた。
「そういえば、炊事とかどうします?」
「君は料理できるの?」
「ある程度は」
「私、料理はからっきしだからできればやってほしいがいいか?」
「構いませんよ」
「私、そう言う硬い口調好きじゃ無いから、崩して大丈夫だぞ」
「わかった」
「適応力高いな」
「いいだろ、僕はご飯の用意してくるよ」
「これからよろしくな、材料は私が買ってきたやつがあるから適当に使って大丈夫だ」
「ありがとう」
僕は彼女が以外用意周到で気が使えるやつだと思いながら料理を作った。
「夕飯出来たぞー」
そう僕が言うと彼女はダイニングテーブルに座った。
「今日は野菜炒めだぞ」
「ありがとう」
そう一言だけ言って、ご飯を食べすすめた。
その後は今後の部屋でのルールを決めた。
掃除は彼女が担当、洗濯は当番制、風呂に入る時は片方は外出するなど色々なルールが決められた。
そうして風呂などを済まして、いつもより少し長かった1日が終わった。