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僕が彼女を異世界に転移させたわけ  作者: 柚木 潤


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31話 モルガの恐れ

 モルガが人間の国に来て、数ヶ月経った頃である。

 鉱山で働く事も慣れては来たが、全く楽な生活では無かった。

 ここでは不思議な鉱石が採掘されるようになり、国を上げての一大事業になっていたのだ。

 だが、実際の働き手については、街の商人達に任されていたので、どんな環境でどんな者達が働いているかまでは、国が把握する事は無かったのだ。


 モルガはここから逃げる事をずっと考えてはいたが、足に繋がれた鎖を切らなければ、どうにもならなかったのだ。

 魔人の国から連れてこられた者達は、みな逃げられないように拘束されていたのだ。

 しかし、中には魔人としての能力のおかげか、逃げ出した者もいるらしい。

 いつの間にかいなくなっている者もいて、モルガは自分のこんな低能力が恨めしかった。

 いくら透明になれると言っても、存在が消える事はなく、鎖から逃れる事は出来なかったのだ。


 そんなある日、いつものように鉱山で作業をしていると、採掘場の岩の奥から何やら声が聞こえて来たのだ。

 はっきりとはしないのだが、どうも誰かが助けを求めている声に聞こえたのだ。

 鉱山では、魔人だけでなく多くの人間も働いていた。

 不思議な事に、周りの人間を見てもそんな声を気にする様子は全く無かったのだ。

 しかし、自分を含め多くの魔人が反応し、お互い顔を見合わせていたのだ。

 それは魔人にしか聞こえない声であったのだ。

 すると、一番近くにいた数人が吸い寄せられるように奥へと移動し始めたのだ。

 モルガも気になり同じように向かった時である。

 先に行った魔人達がバタバタと倒れるのが見えたのだ。

 そしてあっという間に、身体の栄養を吸い取られたかのように骨と皮だけの体になり、干からびた残骸は黒い粉末となり、全てが消え去ったのだ。

 そこには、重たい鎖と足輪のみが残されていたのだ。

 それを見たモルガは恐ろしくなって、その場から逃げようとしたが、身体に力が入らず動く事が出来なかったのだ。

 すると、洞窟の奥から誰かに睨まれているような感覚と、ある言葉が頭に入り込んできたのだ。


『僕の糧となるのだ。ありがたく思え。』


 それを最後に、モルガの意識は途絶えたのだ。

 

 モルガの意識が戻ったのは、それからしばらくしてからのことであった。

 気付くと、何やら自分は高いところから人々が働いているのを見る事が出来たのだ。

 そして、自分には肉体が存在しない事がわかったのだ。

 以前、モルガは両親から話は聞いていたのだ。

 魔人には核が存在し、それが破損しない限り肉体は再生するという。

 もちろん、寿命はあるのでいずれは核も消滅はするのだが、それは魔人の強さで差があるらしい。

 そして今、自分が核だけの存在となったのだと、理解したのだ。

 恐ろしい事に、消滅を見た魔人達の気配は全く存在せず、核すら残されていなかったのだ。

 遠くにいた自分は肉体だけの損害で済んだといえるのだった。

 今まで、急にいなくなった魔人達は、逃げ出したのではなく、ここで消滅させられたのでは無いかと恐ろしくなったのだ。

 とにかくこの場から移動したかったのだが、核のみとなった今も遠くには移動する事が出来なかったのだ。

 いずれ復活するとわかってはいても、多くの年月がかかるのだ。

 しかし、それまでここにいる事が恐ろしかったのだ。

 あれはいったい何だったのだろうかと考えたが、モルガの今までの知識では、何も思いつく事が出来なかった。

 とにかく核だけは残されたが、いつ本当の死を迎えるかわからないこの場所から、モルガは早く移動したかったのだ。


            ○


            ○


            ○


 ペリドットは人間の身体に入ってから、既に数体入れ替わっていた。

 最近のペリドットは、子供のうちに体に入り込み、持っている自分の知識を使い、人間において高い地位になる事が一番良いとわかったのだ。

 そのため、この時のペリドットは学者としての地位を確立し、その傍ら魔人の国への復讐の為に仲間を増やしていたのだ。

 ある時、今の仕事の関係で鉱山に訪れた時、魔人が多く働かされている事に気づいたのだ。

 だが、ペリドットの計画では魔人を仲間にするのは難しかったのだ。

 魔人は見た目でも人間とは違う風貌の者が多かったからだ。

 それに、魔人の国に恨みを持っていなければ、意味は無いのだ。

 自分と同じような者がいればと思った時、鉱山にある弱い気配を感じたのだ。

 ペリドットは集中してその気配の場所を見ると、核のみの存在が漂っている事を知ったのだ。

 それが、モルガとペリドットの出会いだった。

 

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