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03話 転移

 私は自分の心臓の鼓動が速まるのを感じながら、少しだけ顔を出して辺りを見回したのだ。

 そこは畑のような場所で、いくつかの作物が植えられていた。

 意を決して外に出てみると、明らかに自分の住んでいた国とは違っていたのだ。

 畑の先には緑豊かな森が見えるのだが、やはり私にとっては初めての場所であった。

 そしてすぐ横には、石のような物で造られた大きな建物が建っていたのだ。


 ここはどこなのだろう?

 外に出たはいいが、どうして良いかわからなかった。

 ふと気配を感じて振り向くと、見たこともない風貌の人物が、目を見開きとても驚いた顔でこちらを見ていたのだ。

 その人物の見た目は、以前読んだことがある書物に出てくる姿に似ているのだ。

 金色の髪に白い肌、青い瞳・・・

 私自身は会った事は無いのだが、まるで海の向こうの国の方達の風貌ではないかと思われたのだ。


「君は・・・だれ?

 急に畑に建物が現れて、君が出てきたんだよ。」


 その人物は聞いたことがない言葉を発すると思ったが、すぐに何を言っているか何故かわかったのだ。

 見上げると、私が出てきた蔵は自分が知っている建物のままであった。


 「あの・・ここは・・・どこでしょうか?」


 一言だけ話すと、私は眩暈と吐き気に襲われてそれ以上立っている事が出来なかった。

 その時、遠くに見覚えのある影が見えたのだが、すぐに目の前が真っ暗になってしまい、それ以上何も考える事が出来なかったのだ。



 私は目を覚ますと見たこともない天井が目に入ってきた。

 気付くと、私は暖かな布団の中に横になっていた。

 やはり・・・夢では無かったようだ。

 横を向くと先程の人物と一緒に、優しそうな女性がこちらを心配そうに眺めていたのだ。

 もちろん、隣にいる人と同じで色白で綺麗な金色の髪の女性であった。

 

「目が覚めたのね。

 怖がらないで。

 何も酷いことはしないから、安心して。」


 その女性からはとても優しい雰囲気が感じられたので、私は少しずつだが落ち着きを取り戻す事が出来たのだ。

 

「急にあの建物とあなたが現れたのよ。

 私たちも驚いているの。

 きっと、あなたも何だかわからないのよね。」


 私は起き上がり、その女性に向かい恐る恐る話しかけたのだ。


「ここはどこなのでしょうか?

 私の住んでいた国とは全く違うのはわかります。

 私、どうして・・・

 あの、私の言っている事がわかりますか?」


「大丈夫よ。

 ちゃんとわかるわ。

 まずは、ゆっくり休んでね。

 それから、一緒に考えていきましょう。」


 その女性はそう言い、優しく微笑んでくれたのだ。


「そうだ、あなたのお名前は?

 なんて呼んだら良いかしら?」


「私は(はな)と申します。」


 そして、私は自分の事を話し始めたのだ。

 

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