あのころと変わらない
昔、俺はメイと戦ったことがある。それはオズワルド様と出会う前の話だ。俺がまだ一人で森で遊んでいたころの話だ。両親を早期に亡くした俺は一人で生きていくために魔法を学んでいた。才能はあったらしい。独学でそのへんの魔法使いと同等の魔力を身に着けた。幼い分、記憶力に欠点はあったせいか、使える魔法には制限があった。それでも十分なくらいだったという自信がある。そんなとき王都が新たな国王軍の魔法使い兵士を募集するために大会を開いていた。この大会で優勝すれば王国兵として採用をしてくれるという。生きていくのに必死だった俺にはいい話だった。王国兵になるためには15歳以上であることが条件だ。しかしこの大会ではそんな制約もないみたいだ。俺は何も悩むこともなく参加することに決めた。
大会は単純なトーナメント戦だった。全部で128人の参加者がいた。ほとんどが俺よりも年上だ。しかし負ける気がしない。俺の今まで生きてきた時間のうちほとんどを魔法に費やしてきた。それがきっと自信につながっているのだろう。そしてその自信はちゃんと答えてくれた。俺はすいすいと勝ち進むことができた。かなり順調に準決勝戦まで進むことになる。その準決勝で出会ったのがメイだった。
「青コーナー!!まさかの5歳児!!魔法の天才児!!デューク!!!!」
「赤コーナー!!圧倒的強さ!!そして賢さ!!メイ!!!!」
会場が盛り上がる。このときのメイもここまでかなり順調に勝ち上がってきたと聞く。俺とメイの二人はコロシアムへと入場する。王都が用意したコロシアム。王国兵の育成のために作られたこのコロシアムだが、こんな使い方もするらしい。観客もいた。普段はみることができない新米の魔法使いたちをみている。中には自分で魔法使いを購入しようなんてことを考えているようなやつもいる。誰かに買われる前に俺は王国軍として生きていくんだ。
「フレイム」
「フレイムストリーム」
俺はこのころまだ初級魔法しか使えなかった。だから上級基本魔法のフレイムストリームを打たれたときにはすこし驚いた。いやただのフレイムストリームならそんなに驚くことはない。いままでも対処をしてきた魔法だ。しかしメイのフレイムストリームは子供が打つサイズの魔法ではなかった。普通の大人が放つ魔法とさして変わらない。なるほどこれが圧倒的強さか。おれのフレイムの魔法は完全に飲み込まれてしまう。だがしかし、俺は機転を利かせる。基本的に魔法使い同士の戦いは魔力が多い方が有利だ。こうなると逆転の方法は一つ。属性有利をとるしかない。相手の魔法に合わせて俺は属性有利をとるだけだ。
「フレイムストリーム」
「アクア」
自分の方が有利だと確信したメイはどんどん攻撃を仕掛けてくる。俺はそれに対応した属性有利な魔法を使う。有利を確信したらどんどん攻めていかないと対策を取られてしまう。時間の勝負なのだ。
「ストーンバレット」
「エア」
適格に相性有利な魔法を使ってくる。俺も対処をするが、後手に回っているのは確かだ。
「フレイムストリーム」
「アクア」
炎で水蒸気が蒸発した。前は何も見えない。視界が開けるまで俺は警戒を続ける。いつでも防御魔法を展開できる。視界が開けるとメイは姿を消していた。水蒸気に紛れて姿を消して不意打ちするのか。これはまずい。魔力探知はこのころから苦手だった。メイはその弱点をついて戦おうとしているのだろうか。
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