新たな居場所
アックスの戦いを終え、王国兵たちを一旦退かせた俺は、機械自治区の本拠地へと戻った。
「ふん、いい働きじゃなねぇの」
ボスからの労いの言葉をもらう。それと同時に周りにいた機械自治区の人間たちが歓声をあげた。
「今日からのおめぇの居場所はここだ。ようこそ!機械自治区へ!!」
どうやら俺は歓迎されたようだ。フレイムドラゴンの魔法まで使ったんだ。それなりに本気で追い返したように見えただろう。奥の方でルルも機械自治区の人間と笑いながらしゃべっていた。あのかわいい笑顔は周りの人間を幸せにする。おれの視線に気づいたルルがこちらへとやってくる。
「デューク様!!お疲れさまでした!!」
ルルがこれまでの間にどんな扱いを受けてきたのかはわからない。俺のように地面に投げつけられたのか、はたまた丁重に人質として扱われたのか。顔や体に傷はなさそうだ。とりあえず、それだけでもよしとするか。
「ライブ放送で戦いを見ました!!デューク様の炎の属性の魔法は流石でしたね」
おれの戦いがライブ放送されていたなんてしらなかった。まさかそんなに見られていたとは。あそこで俺が手を抜けば全体にばれていたかもしれない。
「おまえら!!きけ!!」
ボスが演台で大きな声を出す。
「俺たちは新たな戦力を得た!!しかも王女様まで!!俺たちに風が吹いてるとしか思えねぇよなぁ!?!?今回の戦争で俺たちは必ず勝つぞ!!」
おぉーーー!!!という歓声が響く。この盛り上がりの中に俺はうまく溶け込むことができず、若干戸惑っていた。そんなところにボスが話しかけに来る。
「デューク、おつかれさんよ。次もまた力借りるかもしれんから、よろしくよ」
「次の戦闘はいつだ??」
「王国に送ったスパイによれば、明日にでもまた兵を送ってくるみてぇよ」
「じゃ、明日もまた俺の出番か」
「いいんや、今度の相手は魔法使いらしいから、俺たちで相手してやんよ」
「魔法使い相手ならむしろ、俺にやらせろ。今の王国に俺以上の魔法使いはいないぞ」
「まぁまぁまぁまぁ、おちついてくれや。俺たちの兵力もみて欲しいんよ。別に俺たちはお前さんのお陰でこの戦争に勝つわけじゃない。勝てる状況からさらに勝ちを確信しただけってところをね」
ボスの余裕そうな笑みが俺には複雑な感情を与えた。俺は俺の命じられた仕事をうまくこなすことができるのか。タイミングを間違えば俺は処刑され、王国は負けるかもしれない。
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