vsアックス
アックスとの戦いは続く。大きな斧での攻撃に加えて、筋肉バカブルースと同じくらいの動きをしてくる。アックスの体は大きく、高速移動による衝撃波だけでもかなりのものだった。しかし、彼の体術は筋肉バカの真似事にすぎない。本物を見たあとならば見きれる。
「高速回転斧技新月!!」
アックスは縦に回転しながらこちらへ攻撃を仕掛けてくる。命中したら真っ二つになるだろう。しかし、遅い。俺からすれば。転移魔法でしっかりと攻撃をかわす。アックスも負けじとおれの転移先を把握し、攻撃の方向をこちらへと変えてくる。同じことをするだけだ、俺は転移魔法でアックスのスタミナ切れを待つのみだ。何回も転移魔法でよける作業がくりかえされた。10回目を過ぎたあたりから、そろそろアックスの体力も切れる頃だろうと、たかをくくっていたのだが、おれの予想に反してアックスの攻撃が終わることはなかった。
「隊長!!いけ!!」
「やってくれ!!隊長!!」
周りの王国兵たちがアックスのことを応援していた。アックスもそれに答えるかのように攻撃を続ける。スタミナが切れるなんて概念は彼にはないのかもしれない。今、この場でアックスがスタミナ切れで攻撃を止めてしまえばそれだけで王国兵の士気は下がるかもしれない。彼はどんな限界を迎えようとも、攻撃を止めることができないのだ。ある意味これも隊長としての意地なのかもしれない。今の状態は俺が悪で向こうが正義。であればここは手を抜いて負けるべきだろうか。俺が機械自治区へ送られたのはスパイとして王国側を勝たせるためだ。ふと、手を抜こうとしたときに身につけられた爆弾が目にはいった。俺は俺自身を人質にされてるうえに、ルルまで人質なのだ。俺がどうなろうと王国がどうなろうと、かわいい弟子のルルに手出しをさせるわけにはいかない。今、機械自治区がルルに手を出せないのは俺という抑止力が働いてるからじゃないか?俺がいなければルルだけだったら、もっと有効に人質として使うんじゃないか?俺はここで死ぬわけにはいかないようだ。王国も守るしルルも守る。それが国王様から言われたことと俺の正義とがどっちも満たされる妥協点だ。おれは全力でアックスを倒すことに決めた。こちらに向かって攻撃をしてくる相手ならむしろ好都合だ。こちらの魔法が全て当たる。すまんな、アックス。大やけどで済ますから許してくれ。
「フレイムドラゴン」
炎の龍がアックスを飲み込む。アックスは全身を炎に包まれながら、地面へと落ちていった。その後も炎の龍は一般王国兵たちを追いかけ始める。王国兵たちはその場から逃げ出した。
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