遺跡の住人
遺跡の入口の暗くて細い道を抜けるとそこには広間が広がっていた。広間は他の魔導院と変わらない見た目の部屋だった。書類は魔法の力で空中を飛んでいる。しかし、違う部分もあった。中に人がいるのだ。いや、普通の人がいる分には他の魔導院と変わらないのだが、そこにいるのは普通の人間ではない。
「デューク様、これは一体……」
「死者だ。魔法の力でこの遺跡の中に縛り付けられてる哀れな死者だ」
「そんな……なんで」
「彼らがなんでここにいるかはわからない。滅んだリーフビエントの魔導院を運営するためにだれかが魔法を使ってやったのかどうだかわからないがな」
たしかに魔法で縛られた死者だといえばそう感じる。質量感のない感じが彼らからは感じられる。
「そうは言ってももう彼らの運命はこれで決まっているんだ。普通に接してやるのが一番の優しさだ」
デュークに言われたその言葉をルルは納得して受け入れたようだ。このリーフビエントの遺跡についてはいまでも研究対象とされている。一説によれば、この人たちは魂を抜かれた人たちなんだとか。これがわかればリーフビエントの街が滅んだ理由がわかるかもしれないし、この年代のことについてもっとはっきりとわかるとされている。この遺跡はそれだけの価値があり、研究されるべき場所なのだが、機械自治区が近く、研究者や学者の安全が確保できないところ、そして、この遺跡に住んでいる人たちに迷惑をかけるのではないか。人権問題なども言われているような状態だ。
「すみません、受付はこちらでしょうか」
「はい、リーフビエントの魔法使いの試練はこちらです。ルル様ですね。グランダートの試練は特別合格、ヴァーテルパーニーの試練は余裕でクリアだそうですね。これはなかなかの逸材ですね。では、受付が完了いたしました。では、こちらへどうぞ」
ルルは奥の部屋へと連れていかれる。ここの試練も対戦形式のものでもないので俺はそれをみることはできない。まぁ、ルルの魔力探知ならここの試練も余裕だろう。俺は安心していた。
「面白い!」「続きが読みたい!」などと思ったかたはぜひ、ブックマークと評価を、できれば星5つをよろしくお願いします。
していただいたら作者のモチベーションになって更新頻度や作品の質が上がるかもしれません。
ぜひ、よろしくお願いいたします。