無属性魔法マグス
マイヤは俺の魔力解放状態を見てもまだ余裕そうにしている。俺のほうはというと、この魔力解放状態を保つためにはかなりの集中力を要する。自分の魂の一部を魔力に変換しているのだが、少しでも気を抜くと自分の魂をすべて魔力に変換する魔力爆発状態になってしまうからだ。いわば、魔力と俺とが俺の魂を引っ張りあっているそんな状態なのだ。余裕なんてなかった。
「さて、このあとどうしましょうかね」
マイヤは指をピストルの形にしながらそのセリフを吐く。こんなの相手がやることがなんなのか決まっている。マイヤの指からは水の弾丸が放たれる。速度をつけることでどんな物体も貫通するだけの威力をつけているようだ。連発をされている以上、すべての弾を転移魔法で避けるのはめんどくさい。俺は防御魔法を展開する選択肢をとった。指から放たれるすべての弾丸を防御魔法は弾いた。
「なるほどな。それがお前の作戦というわけか」
時間稼ぎか。マイヤは俺からの有効手段がないと思ってその行動に移ったようだ。しかし、マイヤはしらない。この魔力解放状態を生かせる魔法があることを。俺は魔力解放で作った魔力を杖の先端に溜める。
「お前が慕う魔王様はお前にこれを教えてくれたかな」
魔力が溜まりきった。杖をマイヤのほうに向けて魔法を詠唱する。
「マグス」
魔力の塊を叩きつける魔法だ。この魔法は物質はもちろん、魔力でできたものに対してもダメージを与え、貫通することもある。魔力の弾はマイヤの体を貫通した。マイヤは驚いた表情を浮かべた。
「この私が、ダメージを……」
「お前の正体は水というよりは、水属性の魔力の塊だ。前の魔王が自信の魔力で作った魔物のうちの一匹だろ。魔力には魔力を叩きつけるんだよ」
マイヤがひざをついた。これでとどめだ。ふたたび俺は杖の先に魔力を充填する。
「ふふふ。まだ終わりませんよ。とっておきは最後まで残しておくものです。なぜ私がこの港町ヴァーテルパーニーに来ることに決めたと思いますか」
マイヤは体をふらつかせながら海の方へ向かって歩き出した。何をするのかわからないが、なにかをしようとしていることは間違いない。急いで魔力を溜める。
「マグス」
もう一度マイヤの体を魔力の弾丸が貫いた。マイヤはその場で倒れた。しかし、マイヤの体は水となり、海と陸とを仕切っていた柵をすり抜けてしまった。
そのままマイヤの体は海へと落ちた。
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