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魔物がいると聞きつけて

 ジェンもルルも戦闘不能になっていた。倒れている二人に向かって魔物たちは襲い掛かる。


「風剣!!」


風をまとった剣が魔物たちを吹きとばしていく。そこに現れたのは勇者ランドルフとその一行だった。


「あのグランダートの街を救った王女様の姿とは思えませんね」


グランダートの魔法使いの試練で土のゴーレムを一瞬で倒したウィズもその場にいた。ルルの顔に手を当て、その後魔物たちに立ち向かっていく。


「この雨から嫌な感じがします。アイさん。時間がありません」


「うん、わかった。ホーリーディメンション!!」


アイを中心にして魔法陣が展開された。勇者ランドルフとウィズにバフがかかる。強力な魔法と剣技が放たれる。


「ダークオーバーデス」

「旋風剣!!」


即死魔法と範囲攻撃の合わせでほとんどの魔物が倒された。ただ一匹を除いて。一回り大きなその魔物は普通のデーモンとは少し違う。そしてそのデーモンの傍には魔法陣が描かれていた。


「どうやら、召喚の魔法陣のようです。あそこから大量の魔物が出てきていたのでしょう。ランドルフさん、あの魔法陣を破壊してください」


「おうよ!!魔断!!」


魔法陣に傷がつくことで無効化された。あとはあの大きなデーモンを倒すだけだ。


ちょうど時を同じくして、巨大な炎の玉が空に現れる。それと同時に雨が上がる。


「ちょうどいいですね。これで邪魔な雨がなくなりました。本気の魔法が出せますね。フレイムストリーム」


大きなデーモンの周りを炎が囲む。全力の魔法に加えてバフもあり、大きなデーモンは一瞬で倒された。


「これで一件落着ですね。アイさん。そこの二人に回復魔法をかけてあげてください。次は魔王の弟子を倒しに行きますよ」


アイが回復魔法をかけるとルルとジェンは起き上がった。


「あなたは……。グランダートで……」


ルルはウィズを見て誰なのかを思い出した。


「王女様。魔物がいると聞きつけてこの勇者ランドルフが駆けつけてまいりました。もう大丈夫です。今から我々は魔王の弟子を倒しに行ってまいります。どうか。身を隠して安全な場所へ」


「まっ……て。デューク様は……ちがうの……」


ルルの声は勇者一行には届かなかった。



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