ヴァーテルパーニー襲撃
ジェンから話を聞き終わるころにはカフェのコーヒーは冷めていた。外の雨もいい感じの強さで降ってきていた。
「世界樹伝説、いろいろ興味深い」
白い生命体、光の柱。まだまだ俺の知らないことがあるみたいだ。そんな感心をしていると突然、街中に警報が鳴りだした。
「魔物がこの街を目指しての襲撃です。市民は避難をしてください。繰り返します……」
まさかの襲撃だった。この街は4つある大きな街のうちで唯一の平和な街だった。なんで国王様は平和な街に俺を向かわせたのだろうとずっと考えていたのだが、もしかしてこの襲撃に備えていたのかもしれない。
「おやおやここにいましたか。探しましたよ」
そこに突然現れたのは市長のマイヤだった。
「市長、わざわざ探しに来てくれたんですか。ありがとうございます」
「さて、では三人にお力をお借りしたいところです。どうか」
「あぁ、もちろんだ。行こう」
俺たち三人はそう言って外に早々と出る。外は相変わらず雨が降っていた。この雨はなにかとても嫌な感じがした。もっとも、雨の中では炎属性の魔法も使えないので雨の中の戦闘は苦手意識がある。しかし、今日は違う。水属性魔法に関しては最強レベルのルルがいる。雨の中でならきっと優位に立ちまわってくれるだろうから俺はその援護だ。ジェンもいる。本当に悪いタイミングで魔物たちは襲撃に来た。かわいそうに。
ウキウキで外に出るところでジェンが倒れた。急な出来事で驚いた。一体何が。倒れたジェンに顔を向けると、ジェンのおなかに穴が空いていた。
「ジェン!!」
「まったく、強い人はこういう時の隙が多い」
人差し指を一本ジェンに向けていたマイヤがそこにいた。
「このときを何年も待った。魔王様のために私がいよいよ役に立てる。さぁ、お前らを殺すぞ」
「マイヤ、お前……」
「これが魔族の生き方だ。お前ら人間を滅ぼすために俺たちは生きている。そのためならどんな手段でもとるさ。さて、いま人間たちは避難所にいる。お前ら三人を処理すれば、この街の人間すべてを殺せる。一人はもはや戦闘不能かな。いや、一応」
マイヤの指先から細長い水が出る。水は刃のようになりジェンの右腕を切り裂いた。
「これで杖を持たぬ人間だな。お前はもう魔法を使うことはできない。さて、お前ら二人を処理させてもらおう。特にデューク。お前には魔王様の敵討ちもある」
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