ジェンの右腕
俺とジェンの会話にルルが割り込んできた。
「ジェンさん、さっきの魔法は一体どうなってるんですか」
「どうなっているというと??」
「杖…使ってましたか??」
「使ってないな」
なるほど。どおりで俺がジェンに魔法の初速で負けていたわけだ。オスバルト様と同じくらいの速度で放たれるあの魔法。呼び寄せの魔法を使っても初速で負けることはなかなかない。杖を使わないくらいしないとこんなことは起きない。いやそれよりも、聞かなきゃいけないことがある。
「どうやって??」
「どうやって??」
俺とルルが同時にジェンに質問をする。二人で同時に質問をすることになるとは思わなかったから俺とルルは目を合わせてしまった。
「まぁ、そうなるよな。オスバルトのやつと同じ次元に立った。と言いたいところだがそんないいもんじゃない。デューク。お前がおれをこうしたんだ」
そういうとジェンは義腕を取り外した。
「お前ならこの義腕、触ればわかるだろ」
義腕を渡される。触ってわかった。
「これは……。杖??」
「あぁ、腕の形をした杖ってところだな」
結局、杖なのかと俺は落胆をした。もしかしてオスバルト様も義腕なのか??
「オスバルトとは全然違う。結局おれは右手からしか魔法を使えないんだ。オスバルトは全身どこからでも魔法を使えた。あれが杖によるものなら、オスバルトは杖そのものってことになる。さすがにそんなことはないだろう」
真実に近づいたような。遠ざかったような不思議な気持ちになった。しかし可能性の一つとして出てきた。オスバルト様が杖そのものであるという説。オスバルト様は魔物であるという説。まだまだ仮説で確証のある話ではない。いろんな仮説を集めていきながら1つ1つの仮説を潰していく必要があるのだろう。オスバルト様の真実まではきっと遠い道のりだ。一歩ずつ一歩ずつ進んだ。
「ここは杖の名産地、ヴァーテルパーニーだからな。どんな杖でも作ってくれる」
そういってジェンは過去の話を始めた。
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