報告
魔王城を出て師匠とのことを思い出しながらノースマウンテンを下った。道中でみた懐かしいドラゴンもいまでは即死魔法を使わなくとも一撃で倒すことができるくらいにはなった。北方の魔物はそこらへんの魔物よりは少し強く、山を下りても油断はできないのだが、オスバルト様に10年ついた結果そんなに困ることなく魔物は倒すことができた。
北の街道をたどって歩けばすぐに王都についた。この国はそれぞれの主要な街と王都は街道で結ばれている。街道には国王軍の護衛隊がいるため魔物に襲われることなく安心して進むことができる。魔王城もノースマウンテンもそうだがダンジョンと呼ばれる場所はどうも空気が重い。久々に感じる街の軽い空気は俺の感じている気持ちとはかなりギャップがあって少々辛いところだった。
すこし歩いて王都の北門についた。
「こちら王都北門になります。入門手続きをお願いいたします」
それぞれの門にも国王軍の兵士がいる。この青い鎧がその目印だ。一般兵は顔も鎧でおおわれているので誰がだれなのかわからないが、ちょっと有名な上級兵士になってくると顔の鎧は装着しないのが主流だ。そうした名のある人が戦果をあげるところを見せることで戦場の士気をあげる目的だそうだとか。
北門を抜けてすぐに俺は国王城へと向かう。オスバルト様のことを報告するためだ。街の中の住民は俺をみて歓喜のまなざしをこちらに向けてくる。俺の姿をみて魔王が倒されたことを察したようだ。その喜びの気持ちも俺の気持ちとはギャップがある。
「デューク様!!」
声をかけてくんな。こっちはイライラするじゃないか。俺の気持ちを多少は考えろ。
そんなことを考えているといよいよ国王城へとたどり着いた。魔王を倒しにいった勇者の一人として俺は顔パスで国王城へと入ることができた。
「デューク。久しぶりだな」
国王様は嬉しそうに話しかけてきた。
「はい。お久しぶりでございます。国王様にご報告があります」
魔王を倒すまでの旅の過程、魔王を倒したこと、そしてオスバルト様のことすべて報告した。
「オスバルト様が魔王を倒したあとで自分が魔王になるといったことを…」
「そうか、そんなことがあったのか。では脅威はまた新たな脅威を呼んだというのだな」
「そういうことでございます」
玉座の間に重たい空気が流れ始めた。国王様は頭の中でいろいろと考えているそうだ。しばらく沈黙が続いたが国王様によって沈黙が破られる。
「では、デューク次の任務だ。オスバルトを倒せ」
まぁ、そういわれることは想定内だった。そのあと長々と国王様の言葉は続いた。
「長年オスバルトと一緒にいたお前ならオスバルトを倒すことができるだろ。いやお前だけが倒せる。お前がこの世界で一番オスバルトについて詳しいだろう。どうかこの世界を救ってくれ」
予想通りの任務だった、だが予想外のことをこのあと言われた。
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