久々の手合わせ
「この街にきたのですからね、ぜひ、港から見える世界樹は見てほしいですね」
マイヤ市長はそういって次の公務へと向かった。俺とルルとジェンとで外へと出た。
「なぁ、デューク。久々に会えたんだ。ちょっと手合わせでもしないか」
とてもいい提案だった。ジェンとは本当に久しぶりだった。子供の頃の俺とは違うんだってところを見せてやりたかった。俺たち3人はヴァーテルパーニーの魔導院に向かった。魔導院はより強い魔法使いを育てるために競技場を無料で貸してくれる。
「じゃ、手合わせは止めを刺す直前までで」
そういって俺とジェンは競技場に立った。俺は勝負をするために杖を呼び寄せの魔法で手元に呼ぶ。
「フレイムストリーム」
俺が杖を呼ぶのと同時にジェンは攻撃をしかけてくる。そんな速度で魔法を打てるのはオスバルト様くらいだ。一体どうやって。俺は攻撃を避けるために転移魔法で避ける。杖は俺がさっきまでいた位置に落としてしまった。転移は出来たが、転移先をジェンにすぐに感知されてしまった。まずい。とりあえず杖を手に入れないと。
「フレイムストリーム」
ジェンの攻撃が次々と迫ってくる。杖を呼び寄せている暇がない。もう一度転移魔法を使わされる。感知と転移が何回も繰り返されて杖を手に入れる暇がない。一体どうやってこの速度で魔法を打っているのか、初速で負けたせいでずっと劣勢だ。ジェンが一体どうやって魔法を打っているのか視界に入れる余裕すらない。こうなれば手首に用意した魔法陣で戦うしかない。手首に用意してある攻撃魔法は炎属性の爆破系の魔法と土属性の土を錬成する魔法だけだ。この二つでジェンに勝てるのだろうか。転移魔法を使いながら頭の中で作戦を練る。これしかないだろう。俺はジェンの真後ろに転移する。
「魔法使いが敵の間近に来るなんてことあるのか」
ジェンは俺をあざ笑うかのように言う。
「魔法陣だな。バレバレだ」
ジェンは転移して逃げた。そこまでわかっている。ようやく、隙ができた。ジェンからのフレイムストリームが飛んできている。土を錬成する魔法を魔法陣でつかう。土の壁が錬成されていく。フレイムストリームは土の壁で防いだ。俺は壁を錬成し続ける。だいたいの円形に錬成されていく土の壁は俺のことを囲うようになっている。こうなってくると当然、ジェンは俺の近くまで転移をする必要が出てくる。上か、後ろか、前か。それはわからないが。上だ。探知しかしていないが俺を狙って魔法を構えているのがわかる。俺の勝ちだ。ジェンもそれに気づいたようで、魔法を構えるのをやめた。
「よくもまぁ、あんなこと思いつくな」
「まぁ、それしか手がないかなって」
「まさか土の壁で爆破の魔法陣を描くなんてな。あのまま魔力を流したらとんでもない爆発だな」
「右手の呼び寄せの魔法陣と転移の魔法陣。爆破の魔法陣と土の魔法陣。使えるものを使っただけですよ。いつもは手数の多さで戦うはずなんで苦手な分野でしたけどね」
俺とジェンは魔導院の椅子に座りながら感想戦をしていた。ルルもそれを真剣に聞いている。きっとこれを聞いてルルも成長をしてくれるのだろう。
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