夜の街道
俺とルルはエヌニを出て夜の街道を歩いていく。夜も多少、王国兵が街道にいて魔物から守ってくれはするが、それでも人数が少ないためか魔物に会う回数は多い。さらに言えば暗闇で見えにくいこともあり、突然襲われることもおおい。普通の冒険者はこの夜闇の中でたいまつや魔法を使って明かりをともしてしまうことが多いのだが、それは三流冒険者のやることだ。こんな暗闇で明かりを灯せば、私はここにいますよということをアピールしていることになる。俺とルルは魔力探知を用いてこの街道を抜けることにした。ルルの魔力探知があれば暗闇でも先にこちらが魔物を見つけて処理をすることができるという寸法だ。
「とりあえずしばらく魔物はいなさそうです。早く進みましょう」
ルルの魔力探知は本当に助かる。しかしせっかく夜の街道を行くのであればルルの経験値のためにあいつが出てきてほしいところだ。俺はそのときのために備えて常に防御魔法を展開しておく。これでどんな敵が来てもどうにかなるというわけだ。そんなことを考えながら歩いていると突然小石が飛んできた。
「石??魔物ですか??でも探知できていませんよ」
来た。俺が求めていた魔物だ。こいつは魔力探知に引っかからない魔物だ。魔力探知を過信している中級魔法使いはこの魔物に不意打ちを喰らって命を落とすパターンが多い。
「ゴーストだ。この世の者でないやつは探知できないんだよ。覚えておきな」
その代わりやつらは物理攻撃ができない。魔力で現実の物に干渉して攻撃をしてきたり、普通に魔法攻撃をしてくることが多い。逆にこちらからも魔法攻撃でしか対処できない。
「フレイムストリーム」
俺の炎の魔法でゴーストは対処した。そんなに強い魔物ではないから知っていればどうにかなる魔物だ。
「そんな魔物のことは知りませんでした。経験不足って怖いですね」
昔の俺と同じことを言っている。俺もこれを教わったのはオスバルト様からだった。ルルと旅をしていると昔の俺とオスバルト様とを思い出すから時々懐かしいと感じることがある。きっと俺が今まで成長をしてきたようにルルもいろいろな経験を通して成長していくのだろう。そのためにも俺が学んできたことをしっかりとルルに伝えていく必要がありそうだ。
「ルル、行くよ」
夜闇の中を二人で歩いていく。魔力探知と防御魔法と経験があればもう怖いものはないだろう。ヴァーテルパーニーはもうすぐだ。ルルの魔法使いの試練もあるし杖について、魔法について俺の知見をもっと深められるかもしれない。オスバルト様を倒すために俺もまだまだ成長が必要なようだ。
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