宿街エヌニ
インヌを出発しておよそ一日。南街道を歩き続けるともう一つの宿街にたどり着いた。本当に南街道は長い。王都を建てるときにもう少し考えて中央に来るように建設をしてほしかったところだ。
「ようこそ!!エヌニへ!!」
一人の男が俺とルルを歓迎してくれた。ピエロのような恰好をしたその男はぴょんぴょんと飛び跳ねていた。
「ここは宿街エヌニ!!ヴァーテルパーニーへ向かう人たちの通るとこだよ!!あそこの宿が今唯一空いてる宿だよ!!」
そう言われるがままにルルはついていこうとするが俺はそれを止めた。ルルの腕を引っ張ってこの男から離れていく。
「どうしたんですかデューク様」
「俺はこの街に本当は入りたくなかったんだ。この街は金の亡者の街だよ。何をしてチップを要求してくるかわからない。商人の街ヴァーテルパーニーで失敗した人間がここで小銭を稼いでる感じだ」
「では、さきほどのピエロもチップを??」
俺は首を縦に振った。本当になんでもかんでも金にしてくるような街だ。それこそ人殺しでさえこの街では金に換えてくる。これは昔、オスバルト様とこの街にきたときの話だ。
「ようこそ!!エヌニへ!!」
一人の男が俺とオスバルト様を歓迎する。ピエロのような恰好をしたその男はぴょんぴょんと飛び跳ねていた。
「ここは宿街エヌニ!!ヴァーテルパーニーへ向かう人たちの通るとこだよ!!あそこの宿が今唯一空いてる宿だよ!!」
そう言われるままに俺とオスバルト様はついていく。言われた宿の前にたどり着くとピエロにこういわれた。
「ささ、案内料だ。銀貨1枚でいいよ」
俺とオスバルト様は顔を合わせた。これだけのことで金をとるなんて驚愕だった。
「ここは金の亡者の街エヌニだ。なんでもかんでも金になるよ。さ、情報料だ。銀貨1枚」
俺とオスバルト様はこの厄介ものを追い払うために銀貨2枚を差し出す。
「デューク。明日になったらすぐにこの街を出よう」
「そうですね、オスバルト様」
俺とオスバルト様とで案内された宿に入る。ここの宿も少し他の街の宿よりも高い。金の亡者の街というのは本当のようだ。俺とオスバルト様とでなんか嫌な気分になってホテルの部屋へと案内される。
「なんか、嫌な街に来ちゃったな。お前の魔法使いの試練のためにヴァーテルパーニーに近い宿を選んだらこのざまか」
愚痴を言いながらオスバルト様はベッドに飛び込んでいく。
「まったく本当に嫌な街ですね」
そんな会話をしたあとすこし沈黙がはいると隣から嫌な会話が聞こえてきた。まったくどんだけ壁が薄いんだこの宿は。
「よし、これで計画はうまくいくだろう」
「とんだ大金が手に入りますよ」
「あぁ、まさか暗殺依頼がくるとは思ってもいなかったがな」
「ついにこんな使われ方をするだなんて」
暗殺。不穏なワードが隣の部屋から聞こえてきたもんだ。