弟子入り
ジェンは大量のドラゴンに立ち向かう。ドラゴンの群生地に足を踏み入れてしまい、ドラゴンたちに攻撃された俺はジェンに助けてもらっているところだ。
「フレイムアロー」
火の矢がドラゴンたちに降りそそぐ。しかし、ドラゴンたちにはきかない。やはりオスバルト様のように闇属性の瞬殺魔法をつかうしかないのだろうか。しかしそれだけ強力な魔法は魔力を大量に消費する。10匹以上いるであろうドラゴンたちを倒すほどの魔力を持ち合わせている人間はいないだろう。であるならば、3人でこのドラゴンたちを処理するしかない。俺はそう判断して杖を取り出した。
「邪魔だ。下がってろ」
戦う準備をしたところでオスバルトにまた隅に飛ばされた。
「フレイムボム」
ドラゴンが爆発する。ドラゴンたちも火を吹いて対抗する。
「アクアウォール」
ジェンが防御魔法で火を防ぐ。
「エアスピア」
風の槍がドラゴンに突き刺さる。ドラゴンのうち一匹の体に穴があいた。しかしほかのドラゴンの爪が襲い掛かる。
「ストーンウォール」
ジェンの石の壁が爪の攻撃を防ぐ。だが、ドラゴンは一匹じゃない。他のドラゴンの爪がジェンに襲い掛かる。ジェンの杖を持った右腕が宙を舞う。
「ジェン!!」
オスバルトがジェンの元へ駆けつける。駆けつけるついでにジェンの右腕をはねたドラゴンをダークキルで抹殺していた。
「あぁ、ちょっとやられちまった。オスバルト、デュークを守れ」
オスバルト様のこのときの表情は一生忘れない。怒りや憎悪といったものが顔面からあふれ出ていた。それを感じたと同時にオスバルト様の魔力が急に上昇したのを感知できた。いつもの100倍の魔力が出ているだろうか。こんだけのことが人間に可能だなんて俺は知らなかった。改めてこの人についていきたいとこのとき感じたのを覚えている。
「ダークオーバーデス」
ドラゴンたちが全員動かなくった。複数対象の闇属性即死魔法だろうか。1匹の魔物の命を奪うだけでも人間一人分の魔力でギリギリ足りるかどうかなのに10匹近い魔物を即死魔法だなんて。なんて芸当をこの人はやっているのだろう。オスバルト様に目をやるとさすがにしんどそうにしていた。怒りのまなざしでこちらへ歩み寄ってくる。
「おい、てめぇ。なんでついてきた。足手まといなのがわからないのか。お前がいなければジェンは魔法に集中できた。お前がいなければ転移魔法で俺たちは王都へ帰れた」
一発殴られた。確かに考えが甘かった。今思えばもしかしたらオスバルト様とジェンは俺が後ろからいるのを考慮して、ゆっくり進んでいてくれていたのかもしれない。
「人を失う辛さも、守る大変さもしらない子供だろ。無責任な。お前の勝手は誰かの迷惑だ」
「そのへんにしてやれ。オスバルト」
ジェンがオスバルトの言葉を止めた。
「俺がデュークに入れ知恵したんだ。俺たちの任務にこっそりついてこいって。悪いのは俺だ。ちょうどいいじゃないか。俺はもう使いものにならない。デュークを弟子にして育てればいい。俺よりも優秀だぞ。この子は」
「だからって」
「お前がおしえてやるんだ。人を失う辛さも、守る大変さをな」
ふん。と息をついてオスバルト様は俺の傍から離れていった。
「俺は厳しいぞ」
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