グランダート出発
グランダートの街は魔物たちが大暴れしたことで建物がぼろぼろになっていた。王国兵と協力して俺たちも魔法でものを運ぶなどしてグランダートの復興を手伝っていた。しかし俺たちでもどうしようもないものもあった。
「ブルース隊長……」
王国兵たちは触れることのできない隊長に向かって悲しそうな声をかける。顔も鎧でおおわれているためどんな顔をしているかまではわからないが、きっと悲しい顔をしているのだろう。魔物と融合してしまった人間。そんな珍しい存在を国王様は王国兵の隊長として引き続き働くことを認めてくれるのだろうか。
「これだけはどうしようもないさ。ちょっと気分転換に外に出てくる」
ブルースは外に出ていった。俺も後を追う。
「ごめんな、どうにもできなくて」
グランダートの街の隅の方。誰にもいない。
「仕方ないさ。新たな強さを手に入れたって考えればいいだけのことよ」
ここならあれが聞ける。
「なぁ、その体、魔法って使えるのか??」
「俺が魔法に詳しくないからわからないが、使えないと思うぞ」
「実は……」
俺はここに来た本来の目的を説明した。オスバルト様のこと。杖なしの魔法のこと。オスバルト様が魔物となにかつながりがあるのではないかと考えているということ。
「なるほどなぁ。でも魔法使えないからなぁ。たぶん関係ないと思うぞ」
そんな気はしていた。俺の魔力探知ではブルースからは魔物としての魔力が探知されるが、オスバルト様からはしっかりと人間としての魔力が探知されていたのだ。なんとなく関係がないことは察していたが、それでも確かめたかったというのが俺の本音だ。
「まぁ、可能性の一つを潰せたんだ。ここに来たことは無駄じゃない」
あぁ、そうだ、オスバルト様と魔物に関係はない。それが分かっただけでも一歩前進だ。
「おれっち、いろいろ考えたんだけど、明日、国王様のところに行くよ。今後どうするかを一緒に話し合う必要があると思うんだ」
「俺たちも一旦王都に戻ることにするよ。グランダートの街もだいたい復興してきたしな」
そんな会話を交えて俺たちは次の日を迎えた。出発のときだ。グランダートの残りの復興は一般王国兵たちに任せることにした。
「なにかあったらすぐに駆け付けるからな」
「承知いたしました!!隊長!!」
王国兵たちとやり取りをして俺たちはグランダートの門を出ようとする。
「ルル様!!」
声をかけてきたのはおれが見たことのない女の子だった。たしか、ルルがグランダートの地下で知り合った女の子だったか。ゴーレムとの戦闘で土属性の魔法をつかっていたあの子だ。
「チル!!」
ルルもそれに反応して返事をする。
「私!!もっと立派な魔法使いになりますから!!またお会いしましょう!!」
チルは精一杯の声で叫んでいた。
「待ってる!!」
そういって俺たちはグランダートを出発した。
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