隊長の意地
ブルースの強さは圧倒的だった。ただでさえ強かった身体能力に加えて目を合わせると即死だから目視ができず、皮膚は猛毒でおおわれているので触れないというとんでもない能力だ。カウンターシールドをさっき使い、他の魔法を使っているせいで残りの魔力がやや心配だ。
「どうやらこの二人を倒すのは大変そうだな。そうだな、街の住人に手を出そうか。なぁ、ブルース」
その辺の魔物たちは王国兵たちが対処できる魔物で実際に俺たちとブルースが戦っている間に王国兵たちが一般市民たちを守るために倒してくれていたのだが、目の前にいるこの魔物、ブルースはどう考えても相手できるレベルでない。
「テイム。一般市民を攻撃せよ」
マッドはブルースに命令を下す。まずい、このままでは被害は尋常じゃないことになる。しかしブルースは動かない。
「どうしたブルース。やれ」
それでもブルースは動かない。
「どうした。なぜだ」
マッドが焦り始める。
「さすがにそれはできないって、俺っちの中の心がそういってるんだよなぁ」
ブルースがしゃべり始めたことにマッドが目を丸くする。
「市民を守るために俺たちはいるんだ。その俺たちが市民に攻撃しちゃおしまいなんよ」
「そんな……。テイムの魔法が……」
「ルル様。とんだご無礼をお許しください。ちょっとどうかしてました。もう大丈夫です」
どうやらブルースは完全に意識を取り戻した様子だ。
「なぜだ、なぜこの魔法が破られる」
「俺っちは人間だ。どんなに心を奪われても、譲れないものがある、心が体に反するときその強い思いは不可能を可能にするんだよ!!」
ブルースはマッドに向かって攻撃を仕掛ける。ブルースは意識は取り戻したがまだ皮膚は蛇のそれだった。それはつまりこの攻撃は猛毒をもった攻撃であった。
「やめろ!!」
近くの魔物がマッドの盾となるためにマッドの目の前に集まるがブルースの一睨みで魔物たちは即死した。
「来るな!!近づくな!!」
ブルースの攻撃がマッドに当たる。マッドは猛毒と強烈な打撃とで即死した。
「隊長!!」
「隊長!!」
「隊長!!」
周りの王国兵たちがブルースに声をかける。意識を取り戻した隊長を迎えるようだ。しかしさきほどの即死をみているからかだれも目を合わせることをしない。
「大丈夫だ。即死の目は俺が意識的に使わないと発動しない」
王国兵たちは喜び、ブルースの元に集まってくる。
「やめろ!!猛毒の皮膚は常に発動している!!」
王国兵たちは急いでブルースから離れた。
「よし、街に出回った魔物たちを全部処理するぞ。お前たちは片付けを頼む」
そういうとブルースは高速移動でその場から消えた。
「どうにか解決したな」
「はい」
俺とルルは魔物研究所の前に立ち尽くした。
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