ドラゴン狩り
「どうか弟子入りさせてください」
「俺は弟子はとらない、子供の面倒は見ないと決めている」
森でこの人に助けられてからオスバルト様に毎日弟子入りを懇願している。しかし、見ての通りでなかなか弟子にはしてくれなかった。
「まったく、オスバルトは頑固だな。こんだけ毎日きてるんだからすこしは折れてやってもいいんじゃない?」
この陽気そうな金髪の男の名前はジェン。オスバルト様と一緒に任務をこなす仲間のようだ。ずっとこの二人についてきたからわかるのだが、基本的にはオスバルト様一人でどうにかなる任務ばかりだが、オスバルト様のあまりの強さに魔物が気を取られているところ不意打ち的にジェンが攻撃を入れるといったペアになっていた。ジェンも俺の弟子入りに肯定的に動いてくれてはいるのだが、どうしてもオスバルト様は弟子にしてくれようとはしなかった。
今日も二人は任務に向かうそうだ。北にあるノースマウンテンにいる魔物を狩ってくるのが任務らしい。おれはこっそりこのあとをついていった。基本的に魔物は前を歩いているオスバルト様とジェンが倒してくれているが、横から出てくる魔物は俺が倒すしかない。前を歩くオスバルトにばれないように風魔法で魔物を切り刻みながら進んでいく。ノースマウンテンは魔王城にちかいこともあって魔物もそこそこ強い。正直俺だけの魔法じゃ心もとないところもあった。まぁ、俺はそれなりに優秀だからどうにかなるだろう。
「これが目的の魔物だな」
ノースマウンテンをある程度奥まで進むとそこにはドラゴンがいた。なかなか見ることのできない魔物だ。
「やるぞ」
オスバルトの合図で動き始めた。
「フレイムストリーム」
オスバルト様の手から放たれた炎がドラゴンに襲い掛かる。いつみてもオスバルト様の杖なしの魔法はすごい。こんな芸当ができるのはオスバルト様だけだ。本来、杖がなければ魔法は発動できないのだが、オスバルト様はそんな凡人の境地にはいないということだ。
「エアストライク」
風の斬撃がドラゴンに降り注ぐ。だがドラゴンは平然としていた。
「ストーンキャノン」
ジェンも陰から魔法をうつ。巨大な石がドラゴンをめがけて放たれたがこれもドラゴンの固い皮には無意味だった。
「ダークキル」
オスバルト様から闇属性の魔法が放たれた。どうやらオスバルト様は四属性の魔法に加えて光と闇属性の魔法を使うこともできるようだ。一般魔法体系から外れたまほうのうちよく使われるものは光属性と闇属性に分類される。魔法というものは奥が深いものなのだ。
ドラゴンの足元には紫の円形の魔法陣が現れた。闇属性魔法の特徴だ。ダークキルは闇属性魔法の中でもかなり上位の魔法。一瞬で対象の命を奪う魔法だ。ドラゴンはもう息をしていなかった。
「さすが、オスバルトだ。さて、素材をもって帰るとでもしますか」
ジェンが転移魔法を使おうとしたとき、まさにそのときだった。
ドラゴンの攻撃が俺の目の前を横切る。どういうことだ。たしかに目の前でドラゴンは死んでいるはずだ。振り返ると後ろには大量のドラゴンがいた。ここはドラゴンの群生地だったようだ。ドラゴンの攻撃がまたくる。たくさんのドラゴンを目の前におれは完全に思考停止していた。
「まったく、後ろに勝手についてくるのはいいから、足引っ張るんじゃないや」
転移魔法で俺の目の前にジェンが転移していた。
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