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とある日の昼食

 マッドさんが拍手をしながらこちらへ歩み寄ってくる。


「さすがです。お二人さん、息ぴったりじゃないですか」


おれができないことをブルースという男はたいていできる。そういった意味では俺とブルースは相性がいいと言えるだろう。


「へっ」


あまりいい顔はしていなさそうなブルースだった。思わぬ戦闘にすこし疲れた我々は午後の魔法使いの試練に向けてレストランへむかった。お昼ごはんにはちょうどいい時間になっていた。グランダートに昔来たときにとてもおいしかった記憶のあるレストランがあるのでそこに二人を連れて行きたかった。


「たしかここがその場所のはずなんだけどな」


記憶を頼りにここにやってきたわけだが、レストランがあるような様子には見えなかった。記憶がまちがっていたのだろうか?近くを通りかかった人に聞いてみる。


「あの、すみません、ここにクックキングというレストランがあったと思うのですが」


「あぁ、クックキングね。あったあった。昔はね。でも今はもうないよ。店主が行方不明になったっていうから」


「行方不明!?」


また、物騒な単語が聞こえてきた。グランダートに入ってからいいことが本当にない気がする。


「まぁ、なんかそんな感じらしいよ。店主さんのお弟子さんが新しくクックイーンって店やってるからそっち行ってみなよ」


俺たちはクックイーンという店の場所を教えてもらってそこへ向かった。


「ここがクックイーンか」


昔あったクックキングと同じような店構えで安心した。早速店内へと入っていく。


「いらっしゃ……デューク様!!」


店員に名前を認知されていた。


「デューク様!!私です。ユリです。覚えて……ないですよね。昔クックキングではただの店員でしたし。まぁ、でも久しぶりに会えてうれしいです!!たくさんサービスします!!ささ、座って」


言われるがままに俺たちは座った。ユリという女の子は厨房へと入って料理を作り始めてしまった。黒髪、ショートヘア、あの性格。たしかに言われてみればっクックキングにそんな店員がいたような気がしてきた。しばらくまってると厨房からいい匂いがしてきた。これは…。なんとも懐かしい匂いだ。


「お待たせしました。オスバルト様とデューク様が当時大好きだった特性ハンバーグ定食です!!」


出てきたのはハンバーグだ。デミグラスソースのかかったハンバーグからは実に香ばしい匂いがする。鉄板プレートからは肉の焼ける素敵な音。副菜の野菜もソースと絡む。ライスは平皿に大盛に盛られている。当時みたときのままが目の前にあった。俺たちは無言でそれを食べ続ける。人はおいしいものを目のまえにすると無言になってしまう、そういう生き物なのだ。


「ごちそうさまでした」


食べ終わるタイミングでふたたびユリがこちらへやってくる。


「あぁ、おいしかったよ。ありがとう」


「いえいえ、師匠の技をしっかりと盗んできましたから」


おいしいという言葉に満足しているのかユリはとても笑顔でいた。この笑顔を壊すことになるだろうが聞かずにはいられない話題があった。


「クックキングの店主さんは??」


「私にもよくわからないんですが、ある日、急にかえってこなくて」


暗い雰囲気になってしまった。申し訳ない。


「早く見つかるといいですね」


ルルが気の利いた一言を言ってくれた。


「お!!もうすぐ魔法使いの試練始まるぞ。俺っちよくわかんないけど、早くいかないといけないんじゃないか??」


俺たちは慌てて店を出る。


「ありがとうございました」


ユリはお辞儀をしていたが、涙がこぼれているのを見逃さなかった。きっと見つかる。祈ることしかできないけれど。

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ぜひ、よろしくお願いいたします。

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