ブルース登場
翌日、俺とルルは王国兵の調査のための聞き取りに参加していた。魔物がどんな姿か、どんな攻撃なのかを聞かれた。王国兵によると、グランダートを襲ってくる魔物はすべて正体不明、未発見の魔物ばかりだという。荒れ果てた荒野という場所がいまだ詳しくわかっていない場所であるとはいえ、そんなに未発見の魔物がいるとは思えない。それともそれだけ荒れ果てた荒野がやばいところなのだろうか。
「ようよ、お前さんたちが、オスバルトの弟子っていうあれか」
謎の男に話しかけられる。王国兵だろうか??いやしかし、彼は鎧を着ていない。タンクトップに短パン、短い髪のその男は兵士といった感じはしなかった。そんな彼に対して敬礼をしている王国兵たち。これは一体どういった状況なのか。
「どなたでしょうか」
ルルが尋ねる。
「これはこれはルル様様。わたしは王国軍第7軍隊隊長ブルースと申しますです」
タンクトップの男がルルを目の前にお辞儀をしている。すこし異様な光景に俺は笑いが起きそうになっていた。
「慣れない敬語はいいですよ。私はただの小娘です」
「それは……。ではお言葉様に甘えて。今後、お前たちの警護をすることになったブルースだよろしく」
「警護?」
「あぁ、国王様の娘、オスバルトの弟子。この二人をこの街で死なせるわけにはいかないって話だ。まぁ、隊長クラスの俺っちが付くし、そもそも君たちが強いからこんだけいればどうにかなるだろうね。ちょうどいいから俺っちの強さ、魔物研究所の闘技場で見せちゃおうか」
「ブルースさん、いま魔物研究所は襲撃されたばかりで闘技場は使えませんよ」
闘技場とは魔物研究所に併設されている施設で魔物と実際に戦う練習ができる場所だ。
「あーぁ。そっか、それは残念だな」
とても残念そうにしていた。しかし、ブルースの腕を見る機会はすぐにやってくる。
「敵襲だ!!荒れ果てた荒野の魔物だ!!」
街の住民が大きな声で騒いでいた。
「よし、俺っちの出番よ。ルル様とオスバルトのお弟子さんはそこで見てな。俺一人で全部片づけるからよ」
住民が指さしていた方向へと俺たちは走る。そこにいたのはまた人型の見たことない魔物だった。
「デューク様あの魔物は一体……」
聞かれても正直わからない。グランダートに来てから全く意味の分からないものなかり見せられる。今回の魔物と思われるものは見た目は人間だがホーネットのような羽と脚がある。脚もホーネット特有の節があるものだった。
「あれが最近よく出る魔物。人型にかなり近いが、知能が追い付いていない。まったく、荒れ果てた荒野ってのはとんでもないところなんだろうな」
そんなことを言いながらブルースは前へ出ていく。
「だが、俺にかかれば余裕だ」
気が付いたころにはとんでもなく大きな音が鳴った。目の前にいたはずのホーネット人間はブルースの拳によってつぶされていた。圧倒的な速さと圧倒的な力。どうやらブルースは格闘家タイプの戦い方をするらしい。なるほど、だから王国兵士なのにタンクトップ姿なんだな。
「これが俺っちの強さよ」
さすが顔の鎧をつける必要がない顔出しの王国兵士は強さがちがう。これなら警護についてもらって安心だ。
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