謎の魔物トレント人間
宿が襲われた音を聞いて俺とルルは宿の外に出た。3階建ての建物であった宿のうち3階の半分がなくなっていた。
「屋根になんかいます」
ルルが指さした先には確かになにかいた。俺はそこへ転移魔法で飛んだ。屋根の上にいたのは人型の魔物のようだが、今までに見たことのない魔物だった。荒れ果てた荒野は魔物が強すぎて人間はなかなか立ち入らない。そこに生息している魔物もどんなものがいるのかはよく知られていない。未知の魔物が目の前にいても不思議ではない。そいつは形は人間の形をしているが、肌の感じは木だろうか。
「フレイムストリーム」
木ならよく燃えるだろうと炎属性の魔法で攻撃をしてみたが、そのときその魔物は目の前にはいなかった。転移魔法をつかったようだ。魔物が転移魔法を使うなんて珍しい。
「デューク様!!あっちです!!」
さすがルルだ。あの魔物の転移先を素早く探知したみたいだ。
「アクアシュート」
ルルの水魔法だ。やはり、あの魔物は転移で避ける。これが荒れ果てた荒野に生息する魔物なのだろうか。まるで人間のような戦い方をする。次の転移先は俺の隣だった。魔力探知が苦手な俺は魔物について考え事をしていたら反応が遅れてしまった。人型のその魔物は手を俺に向けてかざした。魔法攻撃をしてくるのかと思ったがその手からはツタが伸びてきた。思わぬ物理攻撃を俺は正面から喰らってしまった。体勢を崩した俺にツタが絡みついてくる。気が付くと俺は身動きがとれなくなってしまっていた。
「アクアスラッシュ」
極限まで細い水が木のツタを切った。どうやら俺はルルに助けられたらしい。ルルは魔法を使ったところからすぐに転移して気配を消していた。俺を囮にして自分は安全なところから攻撃をするつもりらしい。
あの木の魔物、名前があると便利だろうかトレント人間という名前をつけよう。トレント人間は人間の魔法使いのような戦い方をする。逆に言えば魔法使いとの対人戦だと思えばいいということだ。未知の魔物だが少しずつ対策が練れてきた気がする。こんなことを考えてる間も俺はトレント人間の攻撃を避け続けている。転移魔法を使うと再び相手の位置を探知する必要があるからフィジカルで避けていく。近接戦は苦手だから長い時間は持たない。
「アクアスナイプ」
水の弾丸がトレント人間を貫いていく。俺が疲れて動きが鈍りトレント人間の攻撃を避けきれないと感じたタイミングでルルはしっかりと攻撃をしてくれる。本当によくできた弟子だ。さぁ、ここからは思考よりも戦闘に集中していこう。
「フレイムストリーム」
トレント人間に炎が向かっていく。しかし、いや案の定、トレント人間は転移魔法で転移した。今は戦闘に集中している。魔力探知でしっかりとトレント人間の位置は追えている。俺もトレント人間を追って転移をする。
「フレイムストリーム」
何度か同じことを繰り返していく。普段の魔法組手とは違って相手が魔法をつかってこない分、やりやすい。ルルのサポートもあるからかなりやりやすい。魔物も魔力は無限じゃない。どこかで必ず魔力切れを起こすはずだ。その隙を狙う。10分くらいこれを繰り返しているとトレント人間の動きが鈍くなってきた。
「ここだ。フレイムストリーム」
しかしまた転移されてしまった。俺も転移魔法で追いかける。しかしそこにトレント人間はいなかった。
「デューク様!!後ろ!!」
ルルの声かけで気づく。トレント人間は俺が転移したのと同時に俺の転移先の後ろに転移していたのであった。トレント人間は手を構えた。ツタ攻撃を喰らう前にまた転移を。と思っていたときだった。トレント人間の手から出てきたのはツタではなく炎だった。
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