夢に忍び寄る影
おいしいものを食べたあとはとても気持ちがいい。満腹感とはただおなかが満たされることをいうのではなくなんというかこの幸せな感じを合わせた感情のことをいうのだろう。思い出のオーク肉をたべてとても満足していた。ルルもとても幸せそうな顔をしている。食べさせたこちらの身としてもとてもうれしい。そんな幸せな感情とともに眠気が襲ってきた。まぁ、結界も貼ってあることだし、もう夜は遅いし寝ても大丈夫だろう。
俺は夢の中にいた。思い出がベースの夢だ。ちょうど俺とオスバルト様が魔王を倒すために旅に出始めたころの話だ。おれは修行のついでにと各地の魔法使いの試練を受けることになっていた。ちょうどいまのルルと同じ立場だ。東街道自体はおれが一人で自由に魔物狩りのために歩いていたときにはよく歩いていた。母にそとで遊んで来いと言われれば最初のころはここに来ていた。いわばここは庭みたいなもんだ。
「さて、修行だ。オークを10匹狩ってこい。ただし風属性魔法で切り刻むことだけ許す」
ちょっとしたミッションだったが俺の苦手な魔力探知を鍛えるミッションであることがすぐにわかった。オークはレアってほどではないが、そんなに頻繁に出現する魔物でもないから魔力探知を使って自分でオークを探す必要がある。まぁ、これくらいのミッションだったらどうにかなるレベルのミッションだ。オスバルト様にオーク肉を引き渡すとオーク肉を収納の魔法を使って収納した。こうして歩き進めていき夜になると魔石をつかってテントを貼った。薪セットを使って炎の明かりをつくる。オスバルト様は呼び寄せの魔法でオーク肉を呼び寄せる。慣れたような手際でオーク肉を調理するオスバルト様。作ってもらえた焼きオークはとてもおいしいものだった。ここからは実際の記憶と異なる。オスバルト様が俺に話しかけてくる。
「俺はお前を使うためにここまで連れてきた。お前はルルを何のために連れてきている?」
記憶に違う出来事、突然質問を投げかけてくる。それも思わぬ質問を。
「なぜ、国王はお前にルルをつけた?」
どういうことだ。質問の意味が分からない。
「国王はお前に失う辛さを味わえと言っていたぞ」
考えたくもない思考がよぎる。
「失うんだよ。ルルを。お前は」
今思えばルルを紹介されたときに国王が震えていたのはルルを失う悲しさからなのだろうか。
「弱きものよ。お前ではなにもできない。ルルのことは一体何に使うんだろうね」
返す言葉が見つからない。俺はルルを失うのか。
「うるさいです。私はあなたとは違います。あなたのような黒い心は持っていない」
「では、その純粋な思想が汚れるときを楽しみにしていよう」
ここで俺は目が覚めた。
「面白い!」「続きが読みたい!」などと思ったかたはぜひ、ブックマークと評価を、できれば星5つをよろしくお願いします。
していただいたら作者のモチベーションになって更新頻度や作品の質が上がるかもしれません。
ぜひ、よろしくお願いいたします。