東街道
王都の東門をでるとそこには東街道と呼ばれる道が続いている。街道といえどそこまで整備された道というわけでもなく、何人もの人が歩き続けた結果それが道よなったというような感じだ。道以外のところはほとんど手付かずで草木が生い茂っている。ここらへんの魔物はそこまで強いわけではない。というか弱いというレベルだ。だから初心者の冒険者はここで鍛錬を積む。冒険者ギルドの低ランク任務もこの東街道での任務であることが多い。魔物があまり強くないうえに、街道上であれば王国兵士が魔物から守ってくれる。晴れている日の景色はそれなりによいで一般人がピクニックにきたりなんてこともある。平和という言葉がぴったりな場所なのではないだろうか。今日も東街道は晴れていて空気がおいしい。
「今日のオークこれで5匹目だぞ。多すぎるだろ」
「まぁまぁ、先輩、それが俺たち仕事っす」
そんな会話をしていたのは街道護衛をしている二人の一般兵士だった。
「どうも、お二人さん。オークの肉もらえるかい?」
俺はオーク肉をもらいに二人に話しかけた。野営のときのオーク肉のおいしさは異常なのだ。
「んぁ?あげてやってもいいが、せっかくだからな。一匹につき金貨1枚で交換してやろう」
すこし高い交換だがまぁ、いいだろう。王国兵士はオークを解体して食用の肉にするまでの作業をしていたのだ。その手間賃と考えたらまぁ、いい値段だろう。
「デューク様、一体そんなものにお金をかけてどうしようというのですか。食料なら王都で私が買ったじゃないですか」
「ふふふ、秘密だよ」
ルルには今日の夜までお楽しみにしておいてもらおうではないか。
「ところで、魔法使いのお二人さんは一体何をしているんだい?デート?」
この一般兵は顔を鎧で覆っているから見えないもののさぞかし性格の悪い見た目をしているのだろう。ぶん殴ってやりたいところだ。
「あぁ、ちょっとグランダートに用があってね。向かっているところだ」
「そうですか、グランダートで新婚旅行ですか」
王国兵士でなければこいつに即死魔法を使っているところだ。
「ん?? 先輩?? この方、あの最強の魔法使いオスバルト様の弟子のデューク様ですよ」
「お?? それはあれか?? 先日王都を襲ったオスバルトの弟子で、先日王都を救ったデュークか!!」
「先輩、デューク様ですよ。これはとんだご無礼を。私はフーといいます。こちらの生意気なのは私の先輩でクーです。しっかりと教育をしておきますのでどうかお許しを」
「うるさいぞ、教育するのはお前が俺を教育するんだぞ」
「ひえ、先輩、それどころか、隣にいるのは国王様のご息女、ルル様ですよ」
「お、やっぱ王族の娘ってのは美人だな」
「ほんと、黙ってください」
なんだかとても賑やかな人たちに声をかけてしまったらしい。名前の紹介をされても一般兵は頭を鎧で覆っているため顔がわからないのがもどかしいところだ。ぜひとも二人には有名になってもらって顔の鎧をとるくらいになってほしい。
「お、ちょいと失礼するよ」
そういって多分クーだと思うほうの兵士は街道に現れたゴブリンを倒しに行く。王国兵士には鎧と剣しか支給されない。クーも支給されたと思われる剣でゴブリンをまっぷたつにした。これは完全におれの偏見になるのだが、クーの剣裁きはなかなかのものだった。一般兵の中でもかなり強い部類の兵士だろう。ゴブリンを倒して満足そうにしているクーの後ろにオークが現れた。完全にクーはゴブリンに気を取られている。このままじゃクーはオークに襲われてしまう。さすがに手助けしないとと思い、杖を呼び寄せた。が、一瞬でオークは倒れた。気が付くとフーがオークに剣を刺していた。まったく見えないくらい速動きだった。やぱりこの二人はなかなかのものだ。
「二人がいれば東街道は安泰だな。オーク肉ありがとうよ金貨2枚で。2匹よろしく」
俺とルルはオーク肉を買い取って次へとすすんだ。このやり取りをしている間、ルルの顔がほのかに赤く染まっているのを見逃さなかった。
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