私がオッサン運転を嫌う理由
悪口エッセイ注意
栃木県の国道を走っていた時のこと──
私の一台前を走るクラウンさんが下手くそでした。
二台前の車と私の間でフラフラと、速くなったり、遅くなったり。
まぁ、こういう安定したペースで走れない車というのはよくいるものなので、私がその悪影響を後ろに伝えないようクッションとなればいいことなのですが……
左側のコンビニから左折で出ようとしているお兄さんのミニバンがありました。
クラウンの前が大きく開いていて、余裕でお兄さんはそこに入れる感じでした。
クラウンが前を開けてくれたと思ったお兄さんが『ありがとうございます』と右手を挙げて出ようとしたのと、クラウンが急加速でブロックしに行ったのが、ほぼ同時でした。
お兄さんが止まったからよかったものの、他人を信じやすい愚かな善人だったら、事故になっていたところです。
後にクラウンの運転席を見ると──
偉そうにふんぞり返ってハンドルを片手で握っている、思った通りの感じの、オッサンでした。
『俺の前に出てこようとしたふざけたヤツをブロックしてやった。俺をバカにしやがって。最近の若いヤツは知らんのか、直進が優先なんだぞ。俺様が優先だ』とでも思っているのでしょうか。
過去に何度も書いていますが、私は『オッサン運転』が大嫌いです。
ちなみに『オッサン運転』といっても、すべての中年男性がそんな運転をするわけではないことはもちろん知っています。礼儀正しい紳士もいれば優しいおじさんもいます。
これは私の造語です。運転手がオッサンでなく、オバサンとか若いお兄さんとかでも、ある傾向の運転態度、運転方法を『オッサン運転』と呼んでいます。
それはどんなものか?
某巨大掲示板の車板に長いこと常駐していました。
たぶんですが、あそこに最も多くたむろしているのはオッサンです。
彼らがある画像をアップロードして、それを笑うのです。
二人の若い女の子がテレビのインタビューに答えて、次のように言ってるのがテロップつきで表示されているものでした。
『左側車線は怖いので走りません』
加工したフェイク画像なのかどうかはわかりませんが、どうやら女の子二人が高速道路でずっと右側車線を走っているらしいことを自分で証言してしまっているものでした。
高速道路の右側は『追越車線』であり、追い越しをする時を除いては走ってはいけない車線です。追い越しをせずに2km以上走り続けると違反となり、実際にこれで捕まった人がいるという話も聞きます。
オッサンたちはこの画像をみんなで見て、みんなで嘲笑っていました。
オッサンたちはとにかく女性と老人とドカタ、タクシーを『下手だ』といって嘲笑います。
確かにそうは思います。
たとえば延々とど真ん中車線や右側車線を走り続けるのは道路状況を密にしてしまう迷惑運転です。そういう運転をする代表選手といえば、次のようだからです。
☆3位 お母さん
☆2位 おじいちゃん、おばあちゃん
☆1位 オッサン
……あれっ?
1位にオッサン入っちゃいましたね?
女性やご老人をあれだけバカにして笑ってたオッサンが、なぜこんなところに?
私は女性やご老人を嘲笑ったり攻撃したりするつもりはありません。運転に不慣れな方が、運転がお上手でないのは、当たり前だからです。タクシーやダンプは職業運転手なのでなんとかしてほしいとは思いますが……。
女性やご老人はたぶん、自分の運転を『上手い』とは思ってらっしゃらないと思います。その証拠に、嫌がらせのような幅寄せや車間詰めをされても、反撃したりはしません。ただ、怖がるだけで、なぜ右側車線を延々と走っていたらそんな嫌がらせをされるのかもわかってらっしゃらないように思います。
大型トラックのドライバーさんはたぶん9割以上がオッサンです。
『ゆえに』と言っていいと思いますが、大型トラックドライバーの9割は下手くそです。
乗用車のオッサンと同じような運転をするんです。
ど真ん中車線に列を作って走ります。
時には二車線を塞いで延々と並走していたりもよくします。
『真ん中車線は走行車線だから、延々と走っていいんだぜ?』とか得意顔で言ったりします。
通行帯指定の標識があるところでは大型トラックは追い越す場合を除き指定された車線──大抵は左側車線──を走らないと違反だということを知らないのです。
追越車線を走り続けたら違反になることを知らない女性と何が違うのでしょうか?
素人さんがルールを知らないのや左側車線を走るのが怖いというのはわかりますが、大型トラックドライバーは一応『プロ』なのではないでしょうか?
以前、こんなステッカーを貼ったトラックが走っていました。
『煽り上等! 煽るなら死ぬ気で煽れ!! 売られた喧嘩は大人買い』
『煽られたらフルブレーキ』
いかにもオッサンが好きそうなセンスのステッカーだと思いました。
公道で喧嘩とか玉突き事故誘発のフルブレーキとかしないでくださいよ……っていうかジョークなのかな? と思っていましたが、後にどうやらマジらしいことが判明します。
このトラック、片側二車線の道路の右車線を、延々と走ってらっしゃいました。
そのうち左車線がなくなって右側だけが残るからでしょう。
ですが、そこまでにおよそ5kmの距離があるのです。
そのトラックの後ろには乗用車さんの行列が出来ていました。
私は基本的に左側しか走らないので、左車線を走っていました。
オッサンはとにかくど真ん中か右側車線を延々と走ります。
言うまでもなく道路はキープレフトがルールなんですが……。
左側を走るスキルがないのか、あるいはただ面倒臭いのかはわかりませんが、とにかくど真ん中か右側を延々と走るんです。それだけならまだ女性やご老人と同じようなものなので、こちらがどうにかすればいいのですが……。
オッサンは左から追い抜かれそうになると、怒り出します。
それこそ冒頭のクラウンさんのように、急にスピードを上げたりします。
バカにされていると思うらしいです。
上の写真のドライバーさん、ノロノロと右側を延々走ってらっしゃるので、私は左側から追い抜こうとしました。
すると……やっぱりな。
急加速で横に並んできました。
左側から追い抜こうとする車は自分をバカにしていると思うようです。
自分がきちんと左側を走っていないことが悪いとは、少しも考えないようです。
煽られたら反撃する。それがオッサンです。
べつに煽られてるわけでもないのに勝手に『煽りやがって!』と勘違いして、勝手に怒り出して、みんなの道路をメチャクチャにしてでも自分のメンツを保とうとする。
それがオッサンです。
道路を走る車がみんな上手なら、事故も渋滞も起こらないのに……と、思ってしまうことがあります。
でもそんなことは実現不可能です。
運転がお上手でない方がいらっしゃるのは当然だと思います。
運転免許証を持っている=プロだとは私は思いません。運転免許証とは警察が『違反したら捕まえるよ?』という了承を得るためのものだと聞いたこともあります。
素人さんに『事故を起こさず渋滞の元凶にもならずに走れ』というのは無理があります。素人さんも自分が全体の迷惑になっていることを自覚してらっしゃるのか、『ごめんなさいね』という意思表示をしてくださいます。こっちが何とも思ってないのにも関わらず。
オッサン運転も、自分が上手いと思ってないなら許せるところですが……
自分は上手いつもりでいる下手くそ。それがオッサン運転なのです。
ゆえに、バカにされたと思い込んだら攻撃的になる。それがオッサン運転です。
実際、車を操作する技術は優れてらっしゃるオッサンが多いです。さすがは長年の経験が物を言うのでしょうか。
その優れた技術を駆使して、とても危険なことをするのがオッサンです。幅寄せをする、車がいるところに向かって『どかんとぶつけるぞ』みたいな合流のしかたをする、急ハンドルを切って割り込みする。
自分のことを『上手い』と思っているから始末に負えない──それこそがオッサン運転なのであり、だから私は女性やご老人のことは何とも思わなくても、オッサンだけはこき下ろすのです。
それが『プロ』と呼ばれるトラックドライバーなら、特にです。