表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
虹の足元  作者: 明朝
1/3

宝物を探して

なんとなく興に乗れたのでかけました。着想から、執筆完了まで足かけ一年ぐらい。

一時期頓挫していました。拙い作品ですが見ていっていただけると幸いです。この話含めて一万字

程度で、今日、明日、明後日の三日で投稿しようと思っています。ぜひ、読んでください。

暗く長いうねった路地を走り、交差点を渡ると虹の足元にたどり着いた。

「やっと…ついた!!!!」

千夜に笑いかける。

「やったね」

千夜はいつもクールな反応をする。

そうして、僕たちは足を踏み入れた。


――――

時間は少し遡る。

「なぁ、知ってるか?」

「何をだ?」

「いやな、なんでも虹の足元には宝物が落ちてるって話だ」

「なんだそれ」

「いや、それがさ、A組の神崎がたまたま虹の足元を通りかかった時な、拾ったんだって」

「何を」

「宝物」

「宝物ったってなぁ。金か?」

「いや、それがな、金じゃないらしい。」

「じゃあいらないや」


クラスの奴らがそんな話をしていた。結構大声で。

「なぁ、千夜、俺ら探しに行ってみないか?」

隣の席の親友の常長千夜に問いかけた。

「いいけど、虹って雨降らないとダメなんじゃないか」

「うーん、ちょっと神崎に話聞きに行ってみるか」

「そうだね、それがいい」

「一緒に行こうか」


その声を合図に席を立つ。ガタン、と椅子の脚と床がこすれる音がする。

そうして、A組の方に歩いていき、ドアの前で神崎に声をかける。

「おおい神崎」

(この)じゃんどうしたんだ。」

「いやな、虹の話を聞いて、色々聞こうかと」

「あぁ、その話なぁ。……」

少し気まずそうな顔をしている。

「うん、でもお前は聞く意味がある話かもな。いいぜ、こっち来いよ」


彼はそう言うと、僕らを連れ立って、階段に向かい始めた。

「なぁ、千夜、中身当てしようぜ」

「そうだな。中身は楽しいものじゃなかったのかもしれない」

「あの反応見る限り期待薄だよなぁ」

「まぁでも少しの間、気が紛れるな。父さん相変わらず帰ってこないしな」


そんな話をしつつ、中庭を通り、学校では少し外れにある金工木工室の裏にきた。



「なぁ……」

そこについてからようやく神崎は口を開いた。

「どうしたんだ?」

「いや…なんでもない。」


「それで、虹の話の何が聞きたいんだ?」

「そうだなぁ、神崎が見たときの状況、中身、かな?」

「見たときの状況なぁ。あの日は雨が上がったあとかな、確か。」

「ほうほう」

千夜が返事をする。

「まぁ虹が出てるってんだからそうだわな。それで、とてつもなく大きな虹だった。あの光景は忘れられないくらい大きかったんだ」


「そんなのあったっけ?」

「あぁ。みんな話を聞くと口を揃えて言うんだが、虹はデカかったんだ。」

「それで中身な。中身はなぁ」

「中身が一番気になるな。」

「中身は秘密だ。」

「は?」

「いやな、秘密ってか思い出せないんだよ。」

「なんか、きれいなものだったような、汚いものだったような、触れたら壊れてしまったような、はたまた頑丈かもしれない」

「なんだよそれ」

僕がつぶやく。

「でもな、」


「でも、とても、大切なものだった。」

「これだけは言える。だから、お前も探してこい。きっとお前なら見つかるよ」


神崎は言いたいことは言い終わったのか、スタスタと中庭の方に戻ってしまった。


「なぁ千夜」

しばらく返事がなかった。千夜はまぁこういうやつだ。気長に待てばいい。



「なんだ」

しばらくあとに、千夜が話しかけてきた。

「いやさっきの話どうだと思った?」


「そうだな、俄然興味が湧いた。雨上がりに決行だな。」


「よしそうこなくっちゃな。」


「さて、準備は何が必要かな?」

僕がそういうと、千夜は

「そうだね、向こうに何があるかわからないからね、ナイフとかはあった方がいいかもしれないな」

「確かに、それにライターか」


ホームセンターで、僕たちはライターや刃物を買いそろえた。幼い頃に秘密基地を作った記憶が蘇る。あの時は、家の近くのごみ捨て場を漁って使えそうなものをパチったりしてきた。

「ふ」思い出して少し笑えてきた。

「どうしたんだ」

「いやね、秘密基地を思い出してな。」

「あったね、そんなこと。あれはあれで楽しかったな」


その後、僕らは雨が降るのを待ち続けた。

いつ、その日が来ても問題ないように準備をして。


意外にもその日は早く来た。用意した次の日。雨が降っていた。朝から、今日は雨だとテンションが上がる。


「あら、今日は雨なのに機嫌がいいのね」

母がそう言いながら、朝ご飯を用意してくれた。

「ありがとう」

「そうかも」

僕はそういいながらお箸を取る。朝ご飯は、目玉焼きにカリカリのベーコン、それにパン。あとはサラダだった。いたって普通の朝ご飯だった。

「そうよ、いつもは雨の日は破裂寸前の爆弾みたいじゃない」

母はそういいながら、自分の分と、もう一人の分、も机に運んできて、手を合わせる。

「「いただきます」」

唱和してご飯を食べ始める。

おいしい。今日は雨だから特別美味しく感じるのかもしれない。

首元にちりちりと何か嫌な感じがする。それを払うように、首筋を掻き、ご飯を口に運ぶ。


食べ終えて、僕は鞄を確認する。昨日買ったものをちゃんと入れてある。よし、これでいい。行こうか。

鞄を持って立ち上がる。

「行ってきます」

『「行ってらっしゃい」』


「さて、千夜、放課後になったわけだけどさ」

「そうだな」

「まだ雨が降っているけど、天気予報だとそろそろ上がりそうだね」

「そうだな」

「じゃあ、決行と行こうか、山の上にでも行きたいけど、それだと降りてくるのに時間かかりすぎて、虹が消えないか心配だしなぁ」

「そうだな」

………………

「千夜?」

「そうだな」

「おい!」少し強めに呼びかける。

「……、あぁ、少しぼんやりしていた。学校の屋上でもいいと思うぞ」

「ったく、しっかりしてくれよな」

「すまんすまん」

「それで、屋上に行こう。まだ少し雨降ってるけどそれはそれで楽しいもんだ」

僕がにやりと笑うと千夜も薄く笑った。


@屋上

屋上に上がり、扉を開き、外を眺めながら千夜と無駄話をする。


「「虹だ!!」」

二人でハモる。

「よし、方角は…タワーの方向だな!」

千夜と確認すると、階段を駆け下り、下駄箱に向かう。

「なぁ、晴世」

「なんだよ」僕はテンションが上がっていた。尋常じゃないほど。

「ほんとに、行くのか?」

だから、こう云った時の彼の顔をよく見ておらず、勢いで返事した。

「もちろん!!!!!」



少しした後、「そうか」少し悲しそうに告げる彼の声に気が付かず、

「早くしろよ!」

僕は、千夜を急かす始末だった。


そうして、慌てて、虹の根元に向かった。

幸い、タワーの場所はここからそう離れておらず、すぐにつくことが出来た。


「はぁはぁ」

僕は、肩で息をする。

千夜は汗を一滴も搔いていない。

ばけものだなこいつ、と思いながら、虹の足元に目を向ける。


「あれ?」


神崎の言う、「宝物」なんてものはなかった。


「おかしいな」

そういって、僕はきょろきょろと周りを見回す。


「晴世」


千夜が呼ぶ声がした。


「こっち」


虹を挟んで僕の方向を見ていた千夜の方向に行く。



虹の足元には大きな空間が開いていた。向こうは真っ白な空間で、中を見ることはできないし、匂いもせず、音もしない、ただただ静寂な、白い何かの亀裂のような、そういった大きな断裂がそこにはあり、僕は自然と目が離せなかった。


「晴世。…………本当に入るんだね?」


「――――うん」


そっか、と風の音と共に、少し悲しげな声が聞こえた、気がした、あれは……

僕が千夜の方向を見ようとした瞬間、断裂から光が漏れ出して、僕は視界が真っ白に覆われ…………

感想・誤字報告がありましたら是非よろしくお願いします。

また、ぜひ評価のほどもお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ