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「本当に…何故普通に薬屋が出来ない。」


「「してますよ!」」


「してないだろう。」


双子を正座させ向かいで椅子に座るローワンは頭が痛そうに額に手を当てる。


双子の保護者をしているローワンの元に教会から双子奉仕の内容に苦言がきたのは今朝の事、そこから診療を終えて日が落ちて閉店直後にから薬屋に来た。


ローワンの顔をみて双子は瞬時に察し、キリンが椅子を用意しマーガレットが鞄置きを用意すると双子はスッとローワンの前に正座した。


そうして冒頭に戻る訳だが、常習犯の双子にこれ以上かける言葉は見つからない。


「大体なぜ薬屋が防犯アイテムをつくった。」


「それは…成り行きで?」


「これには深い訳があるんです!実は先日失礼なプロポーズをされたんですが…」


「ほう…それは何処のどいつでどんな内容だ。」


ローワンの目は瞬く間に鋭さを増した。

双子は背中に冷たいものを感じながらも先日の急患の件を話す。


「なるほど…あの男は隣国の王子だったか。なら抹殺はできんな。」


「「医者から出る言葉じゃない…。」」


「まあ、事情は分かった。自衛の手段を持つのは良い事だ。

今度顔をみたら少しばかり思い切りぶつけてやれ。」


「「そのつもりです。」」


「おやおや、何だか殺気立っているね。可愛い顔が台無しだよ。」


「「「?!」」」


音もなくローワンの後ろから顔を出した件の王子をローワンは反射的に殴りつけた。

振り向きざまの右ストレートは綺麗に

決まり王子は扉まで吹っ飛ぶ。


「あ、しまった。つい身体が…。」


「「問題ないですよ。」」


三人が扉の前でピクピクとしながら気絶している王子をどうするか悩んでいると勢いよく扉が開かれた。


開いた扉の前には青い髪に青いドレス姿の偉そうな少女が扇で顔を隠し立っている。


「こんな馬小屋みたいな場所に本当にいるのかしら……。」


少女が歩を進めると扉の前に倒れていた王子をむにゅりと踏みつけ、その感触に驚いた少女がギョッとしながら退いた。


「あ…。」


「「「あ?」」」


「アルフレッド様~!!!」


少女は踏みつけた王子を思い切り抱きしめた後双子とローワンを睨みつける


「貴女達がアルフレッド様をこんな姿にしたのね!なんて人達。」


こんな姿にと言われるとローワンのストレートが原因であるのは間違いなかったが真っ青な顔で魂が出かかっているのは明らかに少女のせいだったので三人はとても頷きずらい。


「貴女様は…。」


「私はアルフレッド様の婚約者にしてキャッサバ国の第二王女、レスタニーサよ!」


「「「婚約者…。」」」


自己紹介された瞬間、双子とローワンは互いに視線を合わせて心を一つにした。


“この王子を押し付ける先はここしかない。”


この直感は正しい。

このミッションは必ず成功させなければと三人は素早く配置につく。


先ずはローワン。


「あ~姫様、王子様は不治の病にかかっています。そこに倒れていたのもその為。」


「なんですって?!どういう事?」


「不治の病…女性をみると口説かずにはいられなくなってしまう病です。」


「しかし勘違いしてはいけませんっ!それは本意ではないのですっ!!」


「そ…そうなの…なんて恐ろしい……。」


レスタニーサは三人の言葉を信じきっていた。


「私は医者ですが、この病を治せるのは運命の相手の姫様だけだと思います。」


「まあ!どうすれば良いのかしらっ!!」


ガーベラはレスタニーサの右耳側、キリンは左耳側にまわり囁きそれをレスタニーサは強く頷きながら聞いた。






「ん…あれ…何して痛っ。」


「お目覚めになりましたか?」


「君は…。」


「ふふっ。まだ朦朧とされているのね。ご自分のお名前はお分かりになりますか?ここに書いてみて下さい。」


「ん…アルフレッド…ん?あれ、コレ婚姻の誓約書?!」


「はい、確かにサイン頂きましたわ。」


頭がハッキリして自分がサインした紙が何か認識したアルフレッドは自身の手から離れていく誓約書に手を伸ばすが掴むことは出来ない。


「君は一体何なんだ!返してくれっ!!」


「キャッサバ国の第二王女、レスタニーサ。貴方様の婚約者で今日から妻になります。」


にこやかに笑顔を浮かべるレスタニーサは手をパンパンと二回叩いた。

すると何処からとも無くメイド服を着た女性が現れレスタニーサから誓約書を託されると一瞬で消え失せた。


「さあ、陛下の元へ報告に参りましょう。」


「い、いやだ!こんな事許される訳が無い!!ローワン!!助けてくれっ!」


「この度はご結婚おめでとうございます。」


「ガーベラ!!」


「どうぞ末永くお幸せに。」


「キリン!!!」


「心よりお二人のご多幸をお祈り申し上げております。」


「な、なぜだ!!」


レスタニーサはアルフレッドの襟首をしっかり掴み出口へ引きずるが、アルフレッドは手足をバタつかせて抵抗する。


仕方がないのでガーベラは青色のボールをアルフレッドの顔面目掛けて全力で投げつけた。


「「ナイスコントロール!」」


アルフレッドは一瞬で意識を失い大人しくレスタニーサに引きずられていった。



~本日の成分~


・青色のボールの活用

・出処が不明の誓約書

・王子の厄介払い


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