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「ようこそ。ガーベラ、キリン待っていましたよ。」


出迎えてくれたのは双子の幼なじみのヒソップだった。

ヒソップは教会でシスター見習いとして働いており仕事の一つとして孤児院の子供たちの世話をしている。


今日は手伝いとして双子は呼ばれていた。


「さぁ皆さ~ん。ご挨拶しましょう。」


「「「「「「きょうは、きてくれて、ありがとうございます!」」」」」」


「はい、上手にできました。」


孤児院に通されて子供たちの待つ部屋に入ると見た目三才から七歳くらいまでの子供たちが六人。

きちんと座って待っていた。


ヒソップは子供たちに挨拶をさせると双子に後を任せ自分は部屋の隅で裁縫を始めた。


「皆さん今日は絵本を読みます。」


「赤ずきんちゃんを知ってる人~!」


「「「「はーい!」」」」


「今日は赤ずきんちゃんを別の視点でみていきますよ~!」


キリンの言葉に子供たちは頭の上にクエスチョンマークを浮かべる。

しかしそんな事はお構い無しに双子による赤ずきんちゃんは始まった。


「森の近くに住むいつも赤いずきんを被っている赤ずきんちゃんは、お母さんに言われておばあちゃんの家までおつかいに行く事になりました。


お母さんからはおばあちゃんへのお見舞いの品が入ったカゴを渡されます。」


「はーい!ここで第一クイズ!!」


キリンは話に割り込みいきなりクイズを出題した。


「お母さんはここで一つミスをしました!それはどちらでしょう!!


一、赤ずきんちゃんのおやつとドリンクが無い。


二、赤ずきんちゃんにお駄賃をあげなかった。


さぁどっちでしょー!」


キリンの二択クイズに子供たちは相談しながらどちらが正解か考える。

キリンがどっちを選択したか確認すると半々に分かれたようだった。


「正解は“二”でした!

大人に頼まれ事をしたらお駄賃を貰わないと損です!わかりましたか?」


「「「「「「はーい!」」」」」」


「では続きですよ。


赤ずきんちゃんは寄り道をしないとお母さんと約束して森に入りました。

しかし、オオカミさんに唆され寄り道をしてからおばあちゃんのお家に行きました。」


「唆されるってなにー?」


「“こっちにおいで”とか“これ美味しいよ”って言ってくる事だよ!怪しい人にそう言われたら逃げようね!!」


「「「「「「はーい!」」」」」」


「赤ずきんちゃんに寄り道させたオオカミさんはおばあちゃんを食べておばあちゃんのフリをして赤ずきんちゃんを待ちました。


そして赤ずきんちゃんがお家に来ると赤ずきんちゃんも騙して食べてしまいます。

お腹いっぱいのオオカミさんはそのまま眠りました。」


「はーいここで第二クイズ!!」


キリンが間に入るとさっき正解出来なかった子供たちは今度はちゃんと正解しようと意気込みソワソワしながら出題を待つ。


「おばあちゃんと赤ずきんちゃんはオオカミさんのお腹の中という危ない場所にいます。

自力で脱出するにはどうすれば良いでしょう!


一、オオカミさんのお腹から口に戻って出る。


二、オオカミさんの喉で丸まっておく。


さぁどっちでしょー!」


子供たちは悩み今度は全員“一”を選択しキリンの答えを待った。


「正解は“二”でした!

喉で丸まっているとオオカミさんは苦しくなって自分から吐き出してくれます。

でも、落ち着いたら直ぐに襲って来るのでその前に退治しましょう!


大人は小さい子にはナイフを持たせてくれません。そこで、この薬袋!」


キリンは手のひらにおさまる大きさの薬袋を頭上にかかげた。

子供たちが注目したところで袋の中から三つのボールを出し手のひらにのせる。


「このボールを襲って来る人に食べさせるか顔にぶつけます!


赤色はくしゃみが止まらなくなります。

黄色は涙が止まらなくなります。

青色は眠ってしまいます。」


「「「「「「すごーい!」」」」」」


手応えはバッチリ。

そう確信したキリンは子供たちに院長に推してもらうようお願いをしようと口を開いた。

しかし、声を発する前に部屋にパンパンと手を打つ音が響く。


「は~い皆さん。今日はもう終わりの時間ですよ~。お姉さん達にお礼を言いましょうね。さんはいっ!」


「「「「「「ありがとー!!」」」」」」


「よく出来ました!じゃあお勉強の部屋に行って下さいね。」


裁縫を中断したヒソップはあっという間に子供たちを部屋から出すとキリンに近づき左手で顔面を鷲掴みにした。


「まったく…うちの可愛い子供たちに何をさせる気かしら?」


「しゅすたーがほうりょくおくのい!」

(訳:シスターが暴力良くない!)


「ちょっとお仕置部屋でお話をしましょうか。あ、ガーベラも同罪かしらっ!」


こっそり逃亡を計ったガーベラもヒソップの右手に手首を掴まれ冷や汗を流す。


結果、双子はヒソップにお仕置部屋に連行された後に院長の元に連れていかれ薬袋の販売には成功した。


しかし数日間身体のあちこちが痛み回復薬のお世話になるのだった。


~本日の成分2~

・教会への奉仕の気持ち

・赤ずきんちゃんクイズ

・剛力シスター見習い

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