第七話 探索開始
「とにかくここで話していても何も始まらないからとにかく動こう。まずは大広間の奥の扉だけど、変なナゾナゾと鍵穴があった。アイリスの話だと一昨日までは鍵穴はなかったみたいだから、追加されたとみるべき。この後だけどオルパトスの話によると私たちは階段から二階には上がれない。何か違う方法で二階に上がらなければならないということ。とりあえず探せるのは一階のみ。大広間以外の扉には鍵がかかっているそうだから鍵探しを含めて二階に行く方法を探そう。」
リズベットの提案に全員がうなずいた。
「一人は嫌だよー。」
アイリスがリズベットの腕をつかむ。それだけでアイリスの意図を察したリズベットが皆に言った。
「二手に別れない?私とアイリスのグループとユーリとルドルフ、イェルカさんのグループで。もちろん何かみつかったらほかのもう一つのグループにも知らせるっていうことで」
「いいとは思うけど、女の子二人だけで大丈夫?」
ユーリが心配そうに言うとリズベットは朗らかに笑った。
「安心して。私こう見ても護身術は人並みにできるから。お化け出てもやっつけてあげるから。」
「ならよかった。」
ユーリが安心したように笑った。
「じゃあ私とアイリスは左を見てくるからユーリ達は右をよろしくね。」
リズベットとアイリスは大広間から出て左へと進んだ。
「…で?私と二人きりになって何が話したかったの?」
リズベットは振り返って尋ねた。
「あの…。あのスピーカーの自動で録音した音声を流す機能ってラピスラズリ大帝国にしかないよね?どうしてこんなところにあるのかな?」
アイリスがもじもじしながら尋ねた。
「そりゃあ…ランテスキー商会から仕入れたんでしょ。…もしかしてハルさんのこと疑ってるの?確かにハルさんはラピスラズリ大帝国の出身だけど、そんなことするような人じゃないのはアイリスだってわかってるでしぃ?それに私たち屋敷においてもらっている身なんだよ?そんな失礼なこと言えるわけないでしょ。」
リズベットが烈火のごとく怒る。
「ごめん、そういうつもりじゃなかったんだけど。でも、なんでリズベットは言わなかったの?ハルさんがラピスラズリ大帝国の出身だって。」
慌てて謝ったアイリスは続けて尋ねる。
「言ったら私たちも疑われるでしょ。捜査して推理するのに疑いほど無用なものはないのよ。それはアイリスも分かるでしょ?」
「うん、ごめんね、突然。」
リズベットが言い聞かせるように言うとアイリスはやっと折れた。
「…で適当に見て回ったけどこの鍵何なの?」
左の一番奥の扉のドアノブの鍵穴にささっていた鍵だ。回そうとしても回らないので別な場所の鍵だと思われるのだが…
「アイリス、あと鍵がありそうな場所ってなかったよね?」
「私の記憶ではあと大広間の奥の扉に…。」
「でも、確かあそこの鍵ってもうちょっと大きかったよね?」
リズベットが言う。
「言われてみるとそうかも。」
アイリスが首をかしげながら言う。
「じゃあ、ユーリ達のところに持っていってみよう。」