表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/9

異世界からの魂

 レヴィ様の証言もいただきまして、スーリャ様が通常ではあり得ないようなことを何故か知っているという事は確信が取れました。

 間者を使っているわけではないでしょうし、そもそもそんな者を雇うお金が子爵家にはありませんし、本当にどこから仕入れた情報なのでしょうか?

 それでも、スーリャ様とライト様を処罰する準備は確実に整えられていっております。

 国のお金を横領しているのですから、よくて王籍を剥奪の上去勢手術を施されて労働施設行き、悪ければ、全ての罪を詳らかにされて国民の前で公開処刑となります。

 ライト様を陥れようとしている派閥が動いているのだとしたら、ライト様にはお気の毒としか言えませんが、自制が利かなく国のお金に手を出してしまった時点で庇うことは出来ません。

 もっとも、そうなってしまったのが本当にライト様の本性なのか、それともスーリャ様に誑かされてそうなってしまったのかはわかりませんけれどもね。

 けれども、簡単に人を誑かすようなこと、本当にできるのでしょうか?

 ライト様は確かにお母様を亡くされていることと、優秀なお兄様に引け目を感じておりましたし、新しく生まれた弟たちに自分の立場が脅かされるのではないかと思っていたようですけれども、それを知り合って間もないスーリャ様に話すとは流石に思えないのですよね。

 そうなりますと、スーリャ様は事前にその事を知っていたか、たまたま知ってしまったか、あてずっぽうで言ったことが当たってしまったのか、色々考えることは出来ますけれども、どれもしっくりきません。

 やはり、好感度、選択肢、イベント、バグと言った単語が引っかかるのですよね。


「宰相様はどう思われますか?」

「まあ、私も信じているわけではなかったのですが、この世界には時々他の世界から魂が紛れ込んでくることがあるそうなのです。それは人の体を乗っ取り、それまでとは比べ物にならない態度を取り始めたり、国を混乱に陥れたりするそうなんですよ」

「そのようなことがあるのですか?」

「ええ、極稀ですし国でも上層部の者にのみ伝わる事です。このような事が知れ渡ってしまったら、国民が一気に不安になってしまいますからね」

「それはそうですわね」


 他の世界からやって来た魂がいつか自分の体を乗っ取り、勝手に動かれるかもしれないとなれば、仲のいい相手に対しても疑心暗鬼に陥ってしまうかもしれませんし、それが国の重要役職に就いている人に起こってしまったら、それこそ国の危機だと大混乱に陥ってしまうでしょう。


「もしかして、スーリャ様もそうだというのですか?」

「言動が過去の事例と一致していますので、そこまで間違った推理ではないと思います」

「そうですか。そのような方にライト様たちが誑かされてしまったのだとしたら、国民の怒りはすさまじい物になってしまうでしょうから、この事を公表することは出来ませんわね」

「そうなると、スーリャ様に責任があるのではなく、誑かされたライト様に重い責任があるという事になってしまいますね」

「それも仕方のない事なのかもしれませんが、どのような刑に処されることになりそうなのですか?」

「スーリャ様に関しては、王子を誑かし、国を混乱させた悪女として公開処刑、ライト様は王籍から排除されて去勢された後に強制労働施設で一生働くという事になるでしょうね」

「ライト様が公開処刑されないだけましという事でしょうか?」

「使い込んだ金額を少しでも取り戻すにはそれしかありませんからね」

「なるほど」


 世知辛いとは思いますが、仕方がない事なのかもしれません。


「そもそも、イカル様のお怒りを買った時点でスーリャ様の運命は決まっていたのではないでしょうか?」

「あら、どうしてそう思いますの?」

「イカル様はご自分を馬鹿にした相手を放置するほどお優しくはないでしょう?」

「さあ、どうでしょう?」


 確かに、婚約破棄を促された挙句にわたくしに対して『当て馬ざまぁ』などとおっしゃいましたので、その報いはしっかりと受けていただくつもりではありますけれども、流石に死刑とまでは思っておりませんでした。

 せいぜい厳しい修道院に一生監禁程度だと思っていたのですが、各家や国のお金に手をつけさせるような真似をしてしまったのですから仕方がありませんね。

 分不相応な事をしてしまった方の末路は大抵決まっておりますけれども、スーリャ様ももう少し自重なされば命を奪われるようなことはなかったでしょうに、残念な事ですね。


「ところで」

「なんでしょうか?」

「慰謝料の支払いを三年待つと王妃様に言ったそうですね」

「ええ、いけませんでしたか?」

「それは、学園の卒業を待つという事でよろしいのでしょうか?」

「そうなりますわね」

「慰謝料をそのまま婚姻式の資金に充てるおつもりですか?」

「あら、おわかりになりまして?」

「まったく、しっかりものの婚約者に恵まれて喜ぶべきなのか、逆に尻に敷かれないか不安になるべきなのか悩み所ですね」

「わたくしが婚約者では不満でして?」

「イカル様こそ、十も年の離れた私と婚約をしてよかったのですか?」

「そのぐらい、よくあることではありませんか。わたくしは全く構いませんわ」

「それならよかったです」


 さて、お二人に対する処罰の内容も決まりましたし、後は時機を見て国民に処罰の内容を公表するだけですね。

 混乱を招かないようにしないといけませんので、ある意味大変な作業になりそうです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ