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そんな事を言われましても

 ライト様とスーリャ様に不満が溜まっていくと、次第に自分の思う通りに人を動かすことが出来なくなっていき、ライト様とスーリャ様は日に日にいら立ちを隠さなくなってきました。

 まるで自分達こそが正義であり、この世界の主役であるというようなその姿には、誰もが呆れを隠すことをしなくなってきます。

 スーリャ様など、思うようにいかないと知ると、「あたしはヒロインなのよ!」と言うようになりました。

 やはり自分の事を物語の主人公だとでも勘違いしているようです。

 ライト様にも高額な品物を強請るようになっているようで、わたくしが聞いた話によりますと、本来ならば婚約者に対して充てられる予算を使い込んでいるようです。

 まだ婚約しているわけではないのに、いずれ婚約するのだから問題ないと言っているようです。

 ライト様はご自分の発言の意味を理解しているのでしょうか?

 スーリャ様と婚約なさるという事は、第三王子の地位もなくなりますし、もちろん大公の地位を与えられることもありません。

 スーリャ様は家を継ぐお子様ではありませんから、低い爵位を与えられて暮らしていくことになると思うのですが、そこの部分から目を逸らしているようにわたくしには感じられるのです。

 第三王子として、幼いころからわたくしの婚約者となる事が決まっておりましたので、それなりの贅沢をして来た代償なのでしょうか?

 確かに、わたくしはライト様に金銭面で苦労を掛けた覚えはございませんし、できうる限りライト様のお望みを叶えてきたつもりです。

 もしそれが悪かったというのなら、わたくしにも責任の一端はあるのかもしれませんが、少なくともわたくしと婚約をしていた時のライト様は慎ましやかで、今のようにお金の使い道が派手という事はありませんでした。

 スーリャ様は今まで縁のなかった高価なものを欲しがっているようなのですが、それはライト様にだけ強請っているわけではないようです。

 まだ数名スーリャ様の言葉を信じて慕っている子息がいらっしゃいますが、その方にも同じものを強請っていると聞きました。

 何が目的なのでしょうか?

 同じものを持っていたとしても、使い道などないと思うのですが、まさかとは思いますが一つだけ残して後は売り払っているなどという事はありませんよね?

 酌婦が使う手段だと聞いたことがありますけれども、まさか、子爵令嬢にまでなった人がそのような恥をさらすような真似をするわけがありませんよね。


「イカル!」

「まあ、ライト様。わたくしに何か御用でしょうか?」

「未だにスーリャに嫌がらせをしているそうだな! 俺に未練があるのはわかるがいい加減にしてくれ!」

「そのような真似はしたことはございませんわよ?」

「嘘をつくな! スーリャが泣きながら訴えてきたんだぞ!」

「そのような事を言われましても、困ってしまいますわね。スーリャ様の意見だけでなく、わたくしの意見も聞いてくださいませんか?」

「お前の話など聞く価値もない!」


 ライト様はそうおっしゃいますと、わたくしに詰め寄って来まして「スーリャに謝罪しろ」とおっしゃいます。

 いったい何を謝罪しろというのでしょうね。


「ライト様はスーリャ様とお付き合いをなさってから変わってしまわれましたね」

「これが本来の俺だ! お前の言いなりになっていたころとは違う! 俺は自由になったんだ!」


 その言葉に驚いてしまいます。

 わたくしは決してライト様を束縛していたつもりはないのですが、そのように感じていらっしゃったのですか。

 とても残念です。

 けれども、だからといって今のような横暴な態度を続けていいわけではありません。

 ライト様はいずれ王子ではなくなり、よくて下位貴族になるのですもの、今からその事を自覚なさった方がいいと思うのですが、言ってもわかってはくださいませんよね。

 今のライト様はスーリャ様の言葉だけを信じていらっしゃるようですし、王族の方が注意なさっても、今まで我慢していたのだから少しは自由にさせろと逆に怒鳴ってしまうそうです。

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