第十二話 サリーのパンツ
「けど、どうしようか…なんでいつも僕は裸なんだ?」
正直困った…
いいアイデアが思い浮かばない…
びたいち微塵も浮かばない…
ロンギヌスを風になびかせ、僕は漂う。サリーから多分見えないのがせめてもの救いだ。
「え!それ好きでやってるんじゃないのー?」
サリーが驚いた顔で言う。こういう顔もかわいい!ぎゅーしたくなる。今日何回もしてるのに。
「いつも戻ったときは、服が破けるんだ。事故だよ事故」
僕は決して露出狂ではない!
やってる事は完全に露出狂だけど…
「冗談よー!冗談!収納魔法で出せないのー?」
サリーは手をぱたぱたする。
「空間を固定しないと出せないんだよ」
「収納に沢山服あるんでしょ、なんか複雑な気分ねー」
『…………』
時間が無いのに、しばし、無言の時が流れる。
「このまま行くしかないか…アナとモモさんにばれるよな、僕がマリーって…」
「…」
「クレイジー仮面ってのもばれそうだな…」
「………いや………」
サリーが小声でボソッとつぶやく。
「嫌よー!あたしたちだけの秘密!!」
「けど、急がないと…」
「……」
「……」
サリーが口をきゅっと結ぶ。
僕の腕の中でサリーがもぞもぞ動く。改めてちっちゃいなー!
シュッ!
衣ずれの音がする。なんだ?
「…これ…つかって……」
サリーが真っ赤になって僕に聞こえるか聞こえない位の声で呟く。
サリーは僕に丸まった布を差し出す。
咄嗟に僕は受け取る。ほのかに暖かい。
なんだこれ?
何が起こっている?
僕の頭の中が真っ白になる。思考がまとまらない。
も、もしかして、これは…
今までサリーが穿いていたパンツ???
「な、何言ってんだー?」
「アンブロシア千個!」
「……ッ!」
「…選んで…それ…使うか…アンブロシアか…」
サリーが真っ赤な顔で潤んだ瞳で僕をじっと見て目を逸らす。サリーを抱く手に自然に力が入る。柔らかい。
「あうっ!痛いわー!もっと優しくして!」
サリーが顔をしかめる。僕は手を緩める。
僕の手には脱ぎたての美少女のパンツ、僕の腕の中にはパンツ穿いてない巨乳美少女!
しかも言う。
そのパンツ、いままで穿いていたパンツを顔に被れと!
思考回路はショート寸前だ!!
「アンブロシア千個位余裕で食べてやるよ、サリーのパンツ被って!」
僕はパニクって訳の解らない事をまくし立てる。
後々、よく考えると木の上に着地して着換えるとか、遠くに着地して着換えるとか他の方法はいくつもあったと思われる。
けど、僕は美少女の脱ぎたてのパンツを被るか、うんこ食うかの究極の選択でパニックになってて正常な思考が出来なかった。
「答えは決まってるだろう。サリー!」
僕はサリーのパンツを握りしめ、大地に向かって飛んで行く。
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