第十一話 竜戦士、サリーと空を舞う
「おい、サリー大丈夫か?」
僕は背中の感触に耐えられず、空中でごそごそして、サリーをお姫様抱っこした。
「ここはどこ?あ、マリーちゃん?う、気持ち悪い…」
「マリーじゃなくて、今はキラだ。振り回してごめん。ここは雲の上だよ」
サリーはキョロキョロ辺りを見渡す。僕達は雲の上にいて、雲の切れ間から下が見える。
「うわーっ!綺麗!とても。下に町が見える。すっごーい!」
サリーの大きな目が、さらに見開かれる。
超絶かわいい!
この娘と僕はさっきチューしたんだな!
僕は世界征服したような気持ちになった、
僕達は、風に流されてしばし漂う。重力操作も織り交ぜて、ときには早く、ときにはゆっくり、旋回したり、宙返りをしたり、空中浮遊を楽しむ。サリーはキャッキャ言いながら楽しんでる。三半規管は強いみたいだな。
「ねぇ、キラ、アラビアンナイトって知ってるー?その中にアラジンと魔法のランプって話があるのー!」
その異世界の話は僕も読んだ事がある。
「お城にいるお姫様を、アラジンって少年が、空飛ぶ魔法の絨毯でつれだすのー!」
アラジンが手を伸ばして、それをお姫様がつかんで絨毯で飛ぶシーンが頭に浮かぶ。僕はサリーの手を取りゆっくり宙を漂う。
「お姫様、この絨毯の乗り心地はいかがでしょうか?」
僕は問う。
「最高よ!もっと激しくしてみて」
「おっけー」
ご要望にこたえることにする。
「キャッ!」
高速で旋回しくるくる宙返りする。あ、忘れてた、僕のロンギヌスがぶるんぶるん揺れる。
ゆっくり旋回して、またサリーをお姫様抱っこする。
「その、本当に姫様になったみたいー。少し怖いけど、楽しいわ!」
サリーが少し強くしがみつく、む胸が当たってるんですけど。
「それで、僕はアラジンかな?それとも絨毯?」
サリーはしばし考える。
「アラジンみたいに勇敢で、絨毯みたいに暖かく空も飛べる」
サリーはじっと僕を見つめる。
「そうね、アラジンで絨毯で、私の王子様!」
僕達は、見つめ合う。
サリーは僕の首に手を回す。
顔が近づく。
サリーの息がふれる。
そしてサリーは目を閉じる!
こっこれは……
僕の鼓動が速くなる。
サリーの鼓動も感じる。それも僕同様速い。
気が付くと僕たちの心臓は同じリズムを刻んでいた。
僕は、サリーを強く強く抱きしめる。さすがに、僕からチューは出来なかった。
あたたかい。
ずっとずっとこうしていたいけど…
「このままどこまでも漂っていきたいな…」
「わたしもよー…」
サリーが大きな目を開けて僕を見つめる…
「もう、そろそろ行かないと…下では、戦ってるはずだ…」
とても名残惜しいが、僕たちだけ遊んでる訳にはいかない。
変身の体の痛みも引いたし、戦闘再開することにする。