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第八話  聖女鎧兜を脱ぐ


「なにこれ、なんて固い金具なの取れないわ」


 桃髪の少女は僕の後ろに回って兜の留め具に指をかけるが外せない。


「しょうがないな、コツがあるんだよ」


 アナと言われた騎士が金具に指をかける。


 ガリッ!


「ごめん、金具とれた……」


 アナは頭を下げる。コツがあるんじゃないのかよ。留め具壊れたら、兜とれねーよ。


「とれたじゃねーよ、どうするんだよ」


「別にいいんじゃないか、その兜よく見ると、おしゃれだぞ」


「おしゃれもへったくれもあるか! 水飲めないんだよ、飯も食えないんだよ!」


「まあ、まあ、大丈夫だ、モモあとは任せた」


 モモと呼ばれた黒騎士が近づいてくる。


「アンドレス」


 低い落ち着いた女性の声がする。鎧が搔き消え、黒髪で痩せてるけどメリハリのついた体格の女性が現れる。東方の浴衣の様な服を着ている。黒騎士は女性だったのか、しかもかなりの美少女だ。そういえば聞いた事がある。傭兵国家サンドリバーの重戦士は鎧を魔法で瞬間着脱できると。


「しょうがないわね」


 モモと呼ばれた少女は僕の兜に手を駆けると簡単に継ぎ目を開いて兜を外してくれた。力強すぎだろ。


『!!!』


 三人の視線が僕に集まる。目がまん丸に見開かれている。


「やばいな、これ……」


 アナがため息を漏らす。


「妖精? かわいすぎる……」


 桃髪少女が僕を凝視してる。なにを言ってるんだ?


「うちに持って帰る」 


 モモと言われた少女が僕を抱きしめる。生まれて始めて母さん以外の女性に抱きつかれた。けど、鎧越しなのがとっても残念だ。


「なんだ、いきなり、僕の顔になんかついてるのか?」


「ああ、ついてるぞ、とっても綺麗な顔がな、お前はついてる、私達についてなくて良かったな、私たちが男だったらひどい事になってるぞ」


 ん、アナ、韻をふみながらさらりと下品な事言わなかったか? こいつにからむと面倒くさいからスルーしとく。


「そうよ、女の子なんだから自分を大切にしなさい。オークを誘惑しなくても、あなただったらほとんどの男性を振り向かせる事ができるわ」


「だから、オークには興味ないわ!」


 桃髪の少女は自分のマントを外すと僕の腰にかけてくれる。なんか急に空気かわったな。


 そうか、もしかしたら僕はかわいいのでは? かわいいは正義って言葉を聞いた事があるが、本当だったんだな。


「とにかく、鎧も外してくれないかな?」


「解ったわ」


 僕にしがみついてた、モモさんが紙を千切るかのように鎖帷子チェイン・メイルを剥いでいく。やばい、この人、絶対人外だ。逆らっちゃあかん人だ。『さん』づけはマストだな。


『!!!』


 僕を含めみんな息をのむ。


「なんじゃこりゃあ!」


 ついつい言葉が漏れる。


「ば、化け物……」


「でかい、でかすぎるわ!」


 そしてモモさんは問答無用で僕の胸を掴んだ。


 どうにかシャツは耐えてるが、今にもボタンが伸びて弾けそうだ。でかいとは思ったが、でかすぎるだろう。小さな子どもの頭くらいは軽くある。


 しばらく、僕はモモさんに胸を揉まれ続けた。


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