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第二十話 聖女真剣勝負する


 シュッ!


 指が少しめり込んだ所でモミが消える?勢い余って僕は飛び上がる。


 やばい!僕の体に悪寒が走る。


「グラビティ・ゼロ!」


 僕は自分の重量を、ゼロにする。パンツごしに指の感触がする。こいつスカートの中に手つっこみやがったのか!間一髪間に合った。僕はモミの指から推力を得て、前方捻り宙返りで着地する。


「あんたねー。レディーに何てことするのよ」


 モミが、くいかかってくる。


「誰がレディーか!お前こそ、いたいけな少女に何しやがった。まじ、痛かったんだぞ」


「美少女同士の喧嘩だってよ!」


 野次馬が集まってくる。


「おい。マリー。ギブアップか気を失うまでの禁じ手なしのデスマッチだ!」


 モミは僕を親指を立てて人差し指でさす。シュートか。ガチンコ勝負だな。


「望むところだ!ほえ面かかせてやる」


 僕は中指を立ててモミの挑戦に応える。


「ちょっと待て!」


 モミは、飲み物の屋台に向かいお金を払い、ジョッキを手にする。そして腰に手を当て一気に飲み干す。


「プファー!」


 モミは口を手で拭う。


「なにおまえ真っ昼間から飲んでやがる!」


「ギルドの受け付けはストレスたまんだよー!んめー!まだ足りんなー!」


 モミは、あと二つジョッキを買ってくると、一つは飲み干し、もう一杯は、野次馬に持たせる。


「おい、にーちゃん持っとけ、後で飲むから飲むなよ!」


 やからかよ!にーちゃんはびびって首を縦に振る。


「ガソリン注入完了!おい、回りの奴等。逃げ出そうとしたり、吹っ飛んできたら中に押し込め。そんときは好きな所さわってもいいぞ」


「オオオオーッ!!」


 モミの言葉に野次馬がどよめく。いつの間にか円形に野次馬が集まってる。これって、よく不良マンガとかで喧嘩のときにやってるやつだよね。


 僕は英雄を目指す者。誰の挑戦からも逃げない!けど、なんか違う気がする。なぜ、公衆の面前で超絶美形酔っ払いエルフと謎の戦いをする事になってるんだろう。


「レディー。ゴー!」


 いつの間にか野次馬の一人がレフリーになってて、勝負の開始を告げる。


「グラビティ・ゼロ!イージスモード!」


 重力の鎖から解放された僕は、まるで浮かんでるたんぽぽの綿毛のようなものだ。どんな打撃でも流せる自信がある。


 僕は勝利を確信した。牛男やアナとの戦いを経て、僕はかなり強くなった。モミの攻撃でやられる訳がない。

 

 モミは両手を合わせ人差し指を突き出し執拗に僕のお尻を狙う。相変わらずぶれないな。下品な奴だ。ちなみにモミの銃ガンはワンフィンガー。接触面を減らした威力重視だ。


 全てヒットするものも僕は上空に投げ出され、華麗に着地する。それを三度繰り返し、モミの顔に焦りが見える。


「馬鹿な…全く手応えがない…」


 モミが呟く。


「当たり前だ。柔よく剛を制す。柳に雪折れなし。それでは、こっちの番だな」


 僕は地面と回りの野次馬を足場にして、縦横無尽に駆け巡る。初めのうちは、余裕で躱してたモミだが、僕はさらに加速する。少しづつモミの足は鈍ってくる。


 余談だが、足蹴にされた野次馬が「ありがとうございます」と感謝してくるのが気持ち悪い。この町は変態ばかりなのか?


 僕の攻撃が少しづつモミにかすり始める。モミは防戦一方だ。


「ハァ!ハァ!!」


 彼女は汗だくで、ボタンシャツが汗で張り付いてピンク色の下着が透ける。


「オオオゥ!エルフ最高!!」


 ギャラリーから感嘆の声が漏れる。


 疲労からか、モミは足がもつれ一瞬動きが止まる。


「もらったー!!」


 僕の指がモミのお尻を捉える。僕の銃ガンはツーフィンガー。中指で補助する事で僕の細い指が骨折しないようにしてる。指先に確かな感触。通った。


 まだだっ!


 まだ浅い!


 シュウッ!


 さらに捻じ込もうとした僕の前からモミは消え去り、僕の後ろで殺気が膨れあがる。いかん!力み過ぎた!防御が刹那遅れる。


 ブシュッ!


「グラビティ・ゼロ!」


 僕の後ろ下に現れたモミが、足を使った強力な一撃を放った。攻撃に全ての力を注ぎ、弛緩してたお尻にクリーンヒットした。


 激痛がはしる!


 何とか防御が間に合い僕は跳び上がる。捻りを加え着地するが、僕は片膝をついてしまう。激痛に耐えられず、お尻に手を当てる。


 モミは少しだけお尻をさすると、僕の前に仁王立ちになり、僕を見下ろす。目がトローンとしてる。動き過ぎて酔いが回ったのか?危険過ぎる!こいつは何するか解らない!!


「なかなかやるな。そんなに私を倒したいか」


 モミがのたまう。


「ああ!お前に強力な一撃をくれて、ぶっ倒す!」


 僕は応える。


「そうか。それならお前にチャンスをやろう。最高の一撃を叩き込むがいい」


 そう言うとモミはパンツを脱ぎ、僕に背を向けた。


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