第十六話 聖女、女の子らしくする
「マリーちゃん、パンツ丸見えよー」
サリーはかがんで僕のパンツを見てる。どういうことだろうか?なにが楽しいのか?
「そうだ、マリーはガードが緩すぎる」
アナ、お前には言われたくない。
「マリーは、私たちのなかで一番可愛い。気をつけないと攫われる」
モモさんが口を拭いて言う。
「マリー、お前もう少し女の子らしい作法を身に付けろ」
重ね重ね、アナには言われたくない。
「アナ、お前だってあんまり変わらんとおもうぞ」
僕はじと目でアナをみる。
「私は騎士だからいいんだ。それに、食事のマナーは学んでる。なにか無作法なとこ不自然なとこあったか?」
僕は言葉につまる。確かに、アナの食事は綺麗だった。サリーもモモさんも。
「マリー。まずは股を閉じろ!あと、脇もしめる!」
アナが僕のとこに来て、姿勢の矯正をする。僕の目の前でかがむので、胸の膨らみが見える。おっぱい小さい人の必殺攻撃だ!僕はたまらず目をそらす。
あ、サリーが怖い顔で僕を見てる。
「あとは、話し方も、私達の前以外では、もっと女の子らしくしようか。いちおう聖女だしな」
それから、小一時間ほど、僕の女子力アップ教育は続いた……拷問だ…
そのあと、僕と牛男はモミと買い物、三人娘は依頼を受けにギルドへ行くことになった。
三人は、日帰りで報酬のいい討伐依頼を受ける予定らしい。装備はギルドに預けているそうで普段着だ。
三人を見送り、僕はモミの部屋へ向かう。牛男は外で待ってる。さすがに牛男を見たら驚くだろうと、牛男が気を遣い、僕がモミに牛男の事を話すまで、付かず離れず見守って貰うことにした。
ピンポーン!
僕はモミの部屋のチャイムを鳴らす。
「はーい、誰ー?開いてるわよー」
相変わらず無防備な奴だ。
部屋に入ると、ソファに寝転がってたモミが跳ね起きた。
「マリー!心配したのよ!」
「ごめん、どうしても急いで行かないといけない用事があって、何も言わずにごめんなさい」
「大丈夫ならいいわ。冒険者ってすぐ居なくなるから…」
モミがしんなりしている。こういう空気は苦手だ。
「そうだ、私のカボチャパンツを顔につけた裸の男に会ったんだって?」
むー、私って使い慣れないから、言いにくい。けど、女の子らしく女の子らしく。
「そうよ聞いてよ!」
モミはひとしきりクレイジー仮面のことをまくしたてる。
「多分、その人にもやむを得ない事情があったんじゃないかしら」
『かしら』って言葉始めて使いました!そういえば実生活で聞いた事がないな。
「モミー!そんな事よりも、買い物行く約束したでしょ!」
「わかったわ」
モミは満面の笑みで僕の手をとって歩き出した。
やばい!コイツもかわいい!
僕たちは、シティモールで買い物をしたあと、今日は町の中央の公園でちょっとしたバザーをしてるらしいので、そこに行く事にした。
モミが僕の右手を握って引っ張っている。なんか、デートみたいだな!そういえば、なんで女の子同士ってよく手を繋いでるんだろう。
「モミー、なんで僕達手を繋いでるのかしら?」
「そりゃ、気持ちいいからに決まってるでしょ、あんた自分の手を握ってみたら。それにあんたのような超絶美少女連れてたら目立つでしょ!いい男寄ってくるかもしれないでしょ!言うなればあんたは荷物持ち兼、あたしのアクセサリーよ!」
ああよかった。なんか安心する。ブレずにくそだな。
僕はモミの手をきゅっと握ると微笑んだ。
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